https://www.jiji.com/jc/article?k=2022011100140
2022年01月11日07時34分

https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202201/20220111at08S_p.jpg
10日、ジュネーブで「戦略的安定対話」に臨むシャーマン米国務副長官(左)とロシアのリャプコフ外務次官(AFP時事)

https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202201/20220111at10S_p.jpg
10日、ジュネーブで開かれた米ロ「戦略的安定対話」(AFP時事)




 【ワシントン、モスクワ時事】米国とロシアは10日、ジュネーブで「戦略的安定対話」を開催し、ロシア軍の国境付近への展開で緊張が高まるウクライナ情勢などを協議した。米国が軍部隊の撤収を迫ったのに対し、ロシア側は「攻撃の計画も意図もない」と反論。焦点だった緊張緩和策は合意に至らず、両者の溝の深さが再確認された。米ロは引き続き協議を重ねる見通しだ。


 8時間近く続いた今回の対話には、シャーマン米国務副長官とロシアのリャプコフ外務次官が出席した。東欧での軍事演習やミサイル配備の制限についても話し合われた。
 シャーマン氏は協議後、記者団に「緊張緩和へ具体的な措置を取れば(交渉の)進展は可能だ」と述べ、ロシアに部隊撤収を要求したことを明らかにした。ウクライナ侵攻は「重大な代償と結果を招く」と大規模な経済制裁も警告した。
 緊張緩和へのロシアの意欲について「答えは持ち合わせていない」と述べ、危機は依然続いていると厳しい認識を示した。ロシアが求めていた北大西洋条約機構(NATO)東方不拡大の「法的保証」に関しては「議論にもならない」と一蹴した。
 これに対し、リャプコフ氏は、ロシア軍の活動は自国領内で行われているとして「緊張激化を恐れる理由がない」と主張。ウクライナ侵攻の意図を否定した。
 NATOに関する米国の立場は「驚くべきことではない」と指摘。「われわれにとって絶対に必要なものが米国人にとって断固受け入れられないことがある」と述べ、米国は問題の深刻さを過小評価していると批判した。一方で、米国がロシアの提案に非常に真剣に対応している印象を持ったと評価もしてみせた。
 ウクライナ情勢をめぐる協議は12日の「NATO・ロシア理事会」、米ロや欧州諸国が加盟する欧州安保協力機構(OSCE)の13日の会合でも続けられる。