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2022年01月12日20時31分

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カザフスタンのトカエフ大統領=2019年6月、ヌルスルタン(AFP時事)

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カザフスタンのナザルバエフ前大統領=2018年1月、ワシントン(AFP時事)




 【モスクワ時事】中央アジア・カザフスタンのトカエフ大統領が抗議デモに伴う混乱を収束させる中で、長年権力を握り続けたナザルバエフ前大統領の影響力を排除する動きを見せている。前大統領の側近が国家反逆容疑で拘束されたほか、トカエフ氏は11日に経済格差の拡大をめぐり前政権を批判するような発言もした。「脱ナザルバエフ」路線で権力強化を狙っているとみられる。


 カザフで30年近くにわたり権力の座にあったナザルバエフ氏は2019年に退任。上院議長を務めていたトカエフ氏が後継指名を受ける形で大統領に就任したが、前大統領は強い権限を持つ安全保障会議議長として影響力を維持し続けた。
 外交官出身のトカエフ氏は前大統領に従順で、真の後継者と目されていたナザルバエフ氏の長女がトップの座に就くまでの「つなぎ」とみられていた。一方、20年に長女が上院議長から解任されるなど権力闘争の兆しはあった。トカエフ氏はナザルバエフ氏に批判の矛先が向いた今回の抗議デモの混乱を権力強化の好機と見なしたもようだ。
 トカエフ氏は今月5日、ナザルバエフ氏に代わって安保会議議長に就任。ロシアの後ろ盾も得てデモを武力で抑え込んだ。また、治安機関トップを務め、混乱を受け解任されたマシモフ元首相が国家反逆容疑で拘束された。大統領府長官などを歴任し、ナザルバエフ氏の側近だった。
 さらにトカエフ氏は11日の演説で「前大統領のおかげで、国際基準でも非常に収益性の高い企業と富裕層が現れた」と述べつつ、そのせいで格差が広がったとの考えをにじませた。「カザフ国民を支援する時だ」と訴え、企業などに政府基金への資金拠出を要請した。
 ナザルバエフ氏の報道官によれば、同氏は首都ヌルスルタンにいるが、公の場には姿を現していない。