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毎日新聞 2022/1/13 09:23(最終更新 1/13 09:23) 586文字




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(写真はイメージ)=ゲッティ

 群馬大病院(群馬県前橋市)で2021年4月、60代の患者から担当医が透析用中心静脈カテーテルを抜いた際に患者の酸素飽和度と意識レベルが低下する医療事故があったことが12日、分かった。担当医は不適切な方法とされる、患者が座った状態でカテーテルを抜いたという。同病院はホームページで事実を公表し、斎藤繁病院長が「本事例の重大さとご家族の強い思いを真摯(しんし)に受け止め、再発防止の徹底と医療安全対策に努める」と陳謝した。

 事故情報を収集する日本医療機能評価機構は、中心静脈カテーテルの医療事故例として血管内に空気が流入して起きる空気塞栓(そくせん)症を挙げており、事故を防ぐ方法として、仰向けか、トレンデレンブルグ位(頭部より下半身を高くする)で抜くとしている。群馬大病院の担当医は同機構の事故例で指摘されている座った状態でカテーテルを抜いてしまった。患者は意識が少しずつ回復しつつあるが、21年12月時点で以前の状態に戻っていないという。



 同病院は意識障害が発生した要因を分析し、改善策を検討するため医療事故調査専門委員会を開催。今回の事故について、「カテーテル抜去に伴う空気塞栓症による意識障害の可能性が最も高い」と、結論付けた。

 同病院では、中心静脈カテーテルの院内マニュアルを改定したほか、同機構の医療安全情報を使って周知徹底を図るなどしているという。【庄司哲也】