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2022/1/16 07:00


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中国遼寧省丹東で、対岸の北朝鮮を見る観光客=2021年7月(三塚聖平撮影)

【北京=三塚聖平】中国と北朝鮮の間で陸路での貿易再開に備えた動きが出ていることが15日、分かった。中朝の陸路貿易は新型コロナウイルスの感染対策で2020年から止まっているが、国境の街で鉄道の試運転が行われたという情報がある。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権が必要物資の確保へ動いている可能性がある一方、中国側でコロナ流行が続く中で早期の本格再開につながるかどうかは不透明だ。

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複数の中朝貿易関係者によると、中朝国境最大の都市である中国側の遼寧省丹東市で、対岸の北朝鮮・新義州(シニジュ)とを結ぶ鉄道を使った輸送再開に向けた準備作業が進んでいる。15日朝には丹東で、国境を流れる鴨緑江対岸の北朝鮮側に鉄道車両が向かったという。鉄道を使った貿易再開に備えた試運転とみられている。現地では近く陸路貿易が再開するとの見方が出ている。

北朝鮮は、中国でのコロナ流行を受けて20年1月に国境を封鎖し、その後、中朝貿易は大きく落ち込んだ。経済制裁もあり北朝鮮の貿易は激減し、物資が不足するなど経済難が深刻化しているもようだ。そうした中、物資調達の拡大へ中国との陸上貿易再開を模索しているとみられる。

ただ、中国では現在、新型コロナの新変異株「オミクロン株」の感染者が確認されるなど各地で感染拡大が続く。陝西(せんせい)省西安市などではロックダウン(都市封鎖)もとられ、中朝貿易再開への懸念材料となっている。習近平政権は来月4日開幕の北京冬季五輪を目前に控えて防疫措置を強めており、少なくとも五輪終了まで中朝貿易の本格再開は難しいとの指摘もある。

北朝鮮側も、金正恩朝鮮労働党総書記が昨年末に開いた党中央委員会総会で「非常防疫事業は国家事業の第1順位」と新型コロナ対応を強調している。