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2022年01月17日07時09分

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中国の習近平国家主席(右)とオンライン形式で会談するバイデン米大統領=2021年11月、ワシントン(AFP時事)




 【ワシントン時事】発足2年目を迎えるバイデン米政権は「最大の競争相手」と位置付ける中国への対応にどこまで本気で取り組むのか。各国はその動向を注視する。政権が掲げる「国際協調路線」の下、同盟・友好国との連携深化がカギとなるが、「対中包囲網」形成で不安要素も指摘されている。


 「『米国は人権と自由、そして同盟への関与から逃げない』と伝えた」。バイデン大統領は昨年4月の議会演説で、中国の習近平国家主席との電話会談の内容をこう明らかにした。また、「競争は歓迎する」とも述べ、台頭する中国への対抗に全力を挙げる姿勢を強調した。
 バイデン氏はその言葉通り、次々と手を打った。中国・新疆ウイグル自治区での人権侵害などを理由に中国企業への制裁を強化。日米にオーストラリア、インドを加えた4カ国の連携枠組み「クアッド」の首脳会談を昨年9月に対面で初開催し、米英豪3カ国の新たな安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」も創設した。
 ただ、同盟・友好国との連携を不安視する声も上がる。ブッシュ子政権時代に国防次官を務めたエリック・エデルマン氏は、国務省と国防総省の政治任用職人事が「非常に遅れている」と指摘。「対中政策に専念したかったはずだが思うように進んでいない」と述べ、イラン核合意再建交渉やロシア軍侵攻の危機にあるウクライナ情勢などへの対応に追われている現状に懸念を示す。
 実際、新たな駐日、駐中大使は昨年12月にやっと承認されたばかりで、同盟国の韓国やフィリピン、タイの大使ポストは依然空席のまま。対中包囲網形成で重視すべきはずの東南アジア諸国連合(ASEAN)の担当大使も未定だ。
 また、トランプ前政権が離脱した環太平洋連携協定(TPP)への復帰をめぐり、米国内での反発を考慮してバイデン政権が及び腰であることも疑念を生む要因の一つとなっている。米国不在の隙を突く形で中国は昨年9月にTPP加入を申請し、関係国を揺さぶる。
 バイデン氏は昨秋、「インド太平洋の新たな経済枠組み」構想を提唱し、米国家安全保障会議(NSC)のキャンベル・インド太平洋調整官は米国が2022年にアジアで経済連携を強化すると表明した。しかし、具体的な内容は示されておらず、アジアの経済連携で米国が主導権を握り中国に対抗できるのか、先行きは見通せていない。