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毎日新聞 2022/1/20 09:00(最終更新 1/20 09:00) 有料記事 1857文字




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在韓中国大使館の前で横断幕を掲げる保守系の市民団体「チャイナアウト」(中国は出て行け)のメンバーら=ソウルで2022年1月12日、渋江千春撮影

 3月9日投開票の韓国大統領選に向けて、与党「共に民主党」候補の李在明(イジェミョン)前京畿道知事と保守系の最大野党「国民の力」候補の尹錫悦(ユンソクヨル)前検事総長がデッドヒートを繰り広げている。保革対立による分断が深まる中、有権者は今回の選挙で何を求め、1票を投じるのか――。3回にわたる連載「深まる分断 韓国大統領選」の3回目(下)は、米中対立のはざまで揺れる国民の安保意識を報告する。

文政権の対中姿勢と国民意識に溝
 日中でも氷点下の寒さだった今月12日、ソウル中心部の在韓中国大使館近くで、約20人の市民がシュプレヒコールを上げていた。主催したのは、昨年10月に結成された「チャイナアウト」(中国は出て行け)という保守系の市民団体だ。11月から毎週水曜日に集まり、中国政府が中国語普及の国外拠点とする「孔子学院」の廃止や、中国人による不動産投資への規制強化などを訴え続けている。

 共同代表の文敬太(ムンギョンテ)さん(68)は「中国とは貿易もするし、人的交流もする。だが、中国共産党は、韓国を搾取するため、3月の大統領選挙にも介入している。我々の大統領は、我々の手で選ばなければ」と訴えた。

 ここまで旗幟(きし)鮮明な団体は珍しいが、韓国内で「反中感情」は保守層だけでなく、党派を超えて広まっている。政府系のシンクタンク「統一研究院」が昨年12月末に公表した調査では、「日米中露4カ国の中で、どの国が安保に脅威か」との質問に、全体の約72%が中国と回答。保守や進歩、中道と政治的な支持層が違っても大差はなかった。歴史問題を巡り関係が冷え込み、「1965年の国交正常化以来、最悪」とされる日本の約21%をはるかに上回った。

 「戦狼(せんろう)外交に代表される強圧的な態度や香港の民主化運動への弾圧、台湾に対する圧力が原因だ」。同研究院は、中国の覇権主義的な行動に対する反発が反映されたと分析している。

 国民感情とは対照的に、文在寅(ムンジェイン)政権は、同盟国・米国との関係を軸にしながらも、とにかく中国の怒りを買わないことを最優先に…

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