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毎日新聞 2022/1/20 09:32(最終更新 1/20 09:33) 856文字




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今夏開催予定の第46回全国高等学校総合文化祭に出場が決まった藤山涼音さん(右)の「紅灯耀映」。左は顧問の大高利之教諭=東京都日野市で

 東京都立日野高校(日野市石田1、宮野聡校長、生徒数901人)の美術部が、文化部のインターハイと呼ばれる「全国高等学校総合文化祭」に5年連続出場を決めた。部員の作品展「青春の星座あり 日野高校美術部の世界」が、イオンモール多摩平の森(同市多摩平2)で開かれている。30日まで。

 今夏の全国大会は都内で初の開催。部長で2年生の藤山涼音(すずね)さん(17)は「自分の代で(連続出場が)途切れるプレッシャーから解放された。中学からの活動が目に見える形につながりうれしい」と喜ぶ。



 全国大会に出るには毎年、1000人近い美術部員が参加する「東京都高等学校文化祭美術・工芸部門」(中央展)で上位10人に選ばれないといけない。同校美術部顧問の大高利之教諭(55)は「部員と顧問の投票で決まる狭き門」と話す。

 作品展会場には、2018年から今回まで全国大会に選ばれた作品や、大高教諭が選んだ平面や立体作品の計15点を展示している。



 中央展で最優秀賞を受賞し、全国大会に出展される藤山さんの油彩画「紅灯耀映(こうとうようえい)」は、渋谷の飲み屋街が舞台。コロナが猛威を振るわなければ若者でにぎわうはずだった。閑散とした街に朱色のちょうちんだけ、輝いている。藤山さんは「ちょうちんの明かりに照らされた机や椅子の反射光で街のもの悲しさを表現した」と語る。紅灯耀映は他の1作品と今月20〜23日に都美術館(台東区)で開催の「プレ大会」に展示されるため、日野会場ではレプリカ(複製画)が陳列されている。

 創立55周年を迎えた同校の美術部は、開校当初から続く部活動の一つ。2期生でロックミュージシャンの故・忌野清志郎(いまわのきよしろう)さんが、恩師で美術部顧問の小林春雄さんを歌った「ぼくの好きな先生」はRCサクセション初期のヒット曲になった。



 忌野さんが当時使った机や、小林さん、全国大会に出場したOBらの作品を集めた展示会「日野高美術部と仲間たち」は2月17〜22日、コート・ギャラリー国立(国立市中1)で開かれる。【斉藤三奈子】