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毎日新聞 2022/1/21 16:00(最終更新 1/21 16:00) 有料記事 2926文字




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撮影に臨む2020年東京オリンピックの公式記録映画監督の河瀬直美さん=首相官邸で2020年11月16日午前11時、竹内幹撮影

 2021年12月に放送されたNHKのBS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」で事実に基づかない字幕を放送した問題。ネット上では「デモが金銭で動員されている」との臆測が広がり、デモに不信感を抱かせるきっかけになった。その背景を探ると、デモや市民運動に対する、ある「偏見」が見えてきた。【佐野格、山下智恵/デジタル報道センター】

 まずは経緯をおさらいしたい。

 この番組は、東京オリンピックの公式記録映画(22年6月公開予定)の監督を務める河瀬さんの撮影現場に密着したドキュメンタリーだ。問題となったのは、五輪開催中、河瀬さんから依頼を受けた映画監督の島田角栄さんが競技場の外で出会った男性にインタビューする場面だ。

 NHKはその様子を撮影・編集し、男性の顔にぼかしを入れた上で、「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」と字幕を付けて放送した。

 この字幕についてNHKは9日「字幕の一部に不確かな内容があった」と公表したが、男性が実際に五輪反対デモに参加したか、デモが日当を支払って動員していたかなど、事実関係の根幹については明らかにしていない。

組合「交通費ならあり得るが……」
 そもそもデモの参加者に金銭は支払われているのだろうか。

 一般的にデモといっても、労働組合や市民団体などの主催者によって違いがあり、組織的に動員されるもの、有志が自ら集まるものなど、形態もさまざまだ。

 約3000人が参加する全国コミュニティ・ユニオン連合会の鈴木剛会長は…

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