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毎日新聞 2022/1/21 20:53(最終更新 1/21 20:53) 743文字




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小林鷹之科学技術担当相(左)と意見交換する日本学術会議の梶田隆章会長=東京都千代田区で2022年1月21日午後5時27分、岩崎歩撮影

 政府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の有識者議員懇談会(座長=上山隆大・政策研究大学院大客員教授)は21日、政府機関である日本学術会議について、今の組織形態を前提とせず、そのあり方を検討するよう政府に求める報告書をまとめた。小林鷹之・科学技術担当相は同日、学術会議の梶田隆章会長と会談し、夏までに政府としての方針を決めると伝えた。

 菅義偉前首相が会員候補6人の任命を拒否した問題をきっかけに、政府は学術会議の改革に着手。財界人も交えたCSTIの有識者懇は2021年5月から学術会議のあり方を議論してきた。



 報告書では「現在の組織形態が最適だとの確証は得られていない」とした上で、政策提言の機能を高めるためには学術会議の事務局機能と財政基盤の強化が不可欠と指摘。「既存の組織体制を前提とせず検討が深められることを希望する」と政府に提言した。学術会議の年間予算は約10億円と限られており、寄付収入を得られる法人への移行などが念頭にあるとみられる。

 学術会議の組織形態を巡っては、政府の有識者会議が15年、「変える積極的理由を見いだしにくい」と報告した。しかし、任命拒否の発覚後、自民党のプロジェクトチームが政府から独立した法人となるよう提言。井上信治・前科技相も政府機関からの切り離しを含め検討するよう学術会議に求めていた。



 これに対し、学術会議は21年4月、「現行の形態が最もふさわしい」とする報告をまとめた。政府は今後、改めて学術会議を政府から独立させるか検討することになる。

 梶田会長との面談後、小林科技相は報道陣の取材に「改革を先送りしたくない。海外のアカデミーの制度や運用実態も参考にして、できれば今年の夏までに政府の方針を示したい」と述べた。【池田知広、岩崎歩】