https://www.jiji.com/jc/article?k=2022012400955
2022年01月25日07時13分

https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202201/20220124at64S_p.jpg
自民党役員会に臨む岸田文雄首相(中央)=24日午後、国会内

https://www.jiji.com/news2/kiji_photos/202201/20220124at20S_p.jpg
名護市長選の開票結果を待つ(左から)沖縄県の玉城デニー知事と岸本洋平氏=23日午後、沖縄県名護市




 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設が争点となった同市長選。自民、公明両党の支援を受けた現職が、移設阻止を掲げる「オール沖縄」の新人を大差で破った。沖縄では秋に知事選が控え、政府・与党はこの勢いを知事選勝利につなげたい考え。玉城デニー知事を支えるオール沖縄は名護と同時に行われた南城市長選でも敗れ、玉城氏は正念場を迎えている。


 岸田文雄首相は24日の自民党役員会で、名護、南城両市長選に触れ、「選挙イヤーの良い第一歩になった」と語った。
 政府・与党は新型コロナウイルスで選挙活動が制限される中、党幹部らが電話作戦を実施するなど総力で支援した。辺野古移設の「本丸」となる名護で勝利を収め、移設工事の加速を狙う。
 辺野古沿岸部で進む工事は、埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかり、作業が難航。玉城氏が設計変更を不承認として、先行きは見通せない。政府関係者は「知事を代えないと工事を加速できない」と指摘。政府・与党は沖縄振興予算を減額するなど沖縄への「締め付け」を図り、対決姿勢を強めている。今後、知事選の候補者選定を本格化させる方針だ。
 これに対し、玉城氏は24日、県庁で記者団の取材に応じ、「選挙は有権者の判断だ。予想以上に(差が)広がった」と肩を落とした。
 玉城氏は昨年11月に、設計変更の不承認を決定。選挙戦では「新基地建設は認めない」と訴えたが、支援した新人候補は5000票を超える大差で敗れた。敗因について、玉城氏支持の県議は「市民も工事が続く状況に慣れてしまった」とうなだれた。
 故・翁長雄志前知事は革新と一部保守勢力を糾合して政府と対峙(たいじ)。後を継いだ玉城氏は、2019年に実施された移設の是非を問う県民投票で7割超の反対票を集めたが、政府による移設工事を止められない現実が重くのしかかっている。新型コロナ感染拡大に伴う地域経済の低迷も追い打ちをかけた。
 オール沖縄関係者は「移設反対だけでは県民に響かない。辺野古以外の争点をどう示すかだ」と危機感をあらわにする。玉城氏は近く、再選出馬の意向を表明するとみられるが、沖縄経済を立て直し、県民の支持を獲得できるかが問われそうだ。