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[ 2022年2月1日 05:30 ]

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洋上で不明になった航空自衛隊のF15戦闘機。小松基地に拠点を置く「飛行教導群」に所属している(空自提供)
Photo By 共同

 航空自衛隊小松基地(石川県)に所属するF15戦闘機1機が、訓練のため同基地を飛び立った直後の31日午後5時半ごろ、飛行中に消息を絶った。乗員は2人で、基地の西北西約5キロ付近の日本海上でレーダーから消えた。この付近で、機体の外板の一部や救命装備品が浮いているのを発見し、F15のものと断定。空自は墜落したと推定している。

 乗員が脱出した際に発信される救難信号は確認されておらず、船舶などの被害情報も入っていない。空自は救難用のヘリコプターや航空機計4機を投入し、夜通しの捜索で乗員の発見や、詳しい状況の確認を急ぐ。この日は、日没後に行う夜間訓練の予定日で、訓練空域に向かう途中だった。

 消息を絶ったF15は小松基地の飛行教導群に所属していた。この部隊は侵略者を意味する「アグレッサー」の通称があり、一年を通じて全国の戦闘機部隊や警戒管制部隊を巡回して敵役として訓練、教導を行うことを主任務としている。機体には、上空で一目見て敵役と判別できるよう、青や緑のカラフルな迷彩や、幾何学模様の「識別塗装」が施されている。全国から選抜された高度な操縦技術を持つ戦闘機パイロットによる精鋭部隊だ。

 金沢海上保安部によると、レーダーから消えたのと同じ頃、石川県加賀市の橋立漁港付近にいた男性から「海上で赤い光を見た」と118番があった。同保安部は、巡視船を向かわせ、通報とF15の関連があるか調べている。

 F15が墜落したとすれば、空自機の日本国内での墜落としては、2019年4月、青森県沖の太平洋での三沢基地のF35Aステルス戦闘機のケース以来。F15の墜落は、11年7月に那覇基地の機体が訓練中、東シナ海で墜落して以来となる。

 ◇F15戦闘機 航空自衛隊の主力戦闘機で、外国機に対する緊急発進(スクランブル)の任務で中軸を担う。運動性能に優れ、空対空射撃の能力に強みがあるとされる。米空軍用に開発され、空自機は三菱重工業がライセンス生産している。空自は各地の基地に計約200機を配備。全長19・4メートル、全幅13・1メートル、最大速度マッハ約2・5。愛称は「イーグル」。