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毎日新聞 2022/2/2 09:46(最終更新 2/2 09:46) 868文字




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山梨県庁=野呂賢治撮影

 農地情報を地図上で把握するため山梨県が導入しているシステムの運用に問題があると因縁をつけ、運用を委託している団体の職員から現金7万円を脅し取ったなどとして県警捜査2課などは1日、県農政総務課副主査の仲川賢司容疑者(58)=山梨市万力=を恐喝と収賄の容疑で逮捕した。仲川容疑者は「公務員であり、契約する立場として賄賂を受け取った」と容疑を認めているという。

 逮捕容疑は、耕地課副主査だった2020年2月21日、システムを運用する県土地改良事業団体連合会(甲府市)の事務所で、担当の40代男性職員に、システムの管理上の不備を指摘した上で「俺は個人的にお前を指導した。お前も個人的に指導料を払え」「お前の今までの悪事を上に言って、発覚すれば、指名が停止になるぞ。お前の悪事を県の人間にばらすぞ。会社にいられなくなるぞ」などと脅し、現金7万円を受け取った、としている。



 県警などによると、2人は県職員と契約業者として10年以上の面識があった。19年7月ごろ、システムのデータ移行作業時に職員が提出した業務計画書や工程表などに不備があったことが発覚。仲川副主査は、今後の業務体制見直しや原因究明のため報告書の作成を指示し、20年2月に完成させるまで何十回も修正を繰り返させ、「指導料」として金銭を要求した。

 仲川副主査が発言したとされる「悪事」については、運用の不備や仕事上のミスなどで、犯罪性が疑われるような事実はなかったとしている。職員は金銭を渡した理由について「お金を渡せば仕事のミスを大事にされないで済むと思った」などと話しており、贈賄容疑で書類送検する方針。



 21年12月13日にも金銭の授受があったとして同月、職員が県土連に仲川副主査との一連のやりとりを報告し、警察に被害届を出した。県も問題を把握し、12月27日夜に「職員が関係先の団体から金銭を受け取った」と発表していた。

 職員の逮捕を受け、長崎幸太郎知事は「県職員全体の信用に関わる重大な問題。事実関係が判明すれば厳正に対処する」とのコメントを発表した。【田中綾乃、梅田啓祐】