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毎日新聞 2022/2/3 16:00(最終更新 2/3 16:20) 有料記事 4087文字




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バングラデシュで行われた日本の入国規制に抗議するデモの参加者=ストップ・ジャパンズ・バン提供

世界に広がる抗議の声
 「入国禁止措置は日本の将来にも損害を与える」。1月28日、ドイツ北部ハンブルク。日本総領事館前に集まった3人が新型コロナウイルスの感染拡大を受けた日本の水際対策を批判した自作のポスターを掲げていた。

 「東京オリンピックが終われば、衆院選が終われば、日本に行けると期待していたら、今度はオミクロンだ」。日本で語学学校に通う手続きを済ませ、入国規制緩和を待ち続けてきたケビンさん(28)はポスターを手にこう語った。日本行きに備えて蓄えてきた貯金はドイツでの家賃や生活費に消えていく。「『もしかして来月には日本に行けるかも』。そう考えると、ドイツで就職もできない」と表情を曇らせた。

 隣にいたデニズさん(27)は日本で修士号を取る計画を立てていた。「市民の健康が大切なら東京五輪も開催されなかったはずだ。有名なサッカー選手や音楽家の訪日は認められ、イベントも開催された。健康のためならイベントは開かないでしょう」と憤る。

 抗議の声は各国に広がる。ツイッター上では日本入国を望む人たちがハッシュタグを付けて思いをつづっており、1月には「ストップ・ジャパンズ・バン(日本の入国規制を止めろ)」という団体が結成された。28日はドイツのほか、イタリアやスペイン、マレーシアなどでも抗議の声が上がり、これまでに300人超が各国の日本大使館前などで抗議行動を行っている。

 団体を立ち上げたのは、米イリノイ州在住で高級ウイッグ(かつら)の販売会社を経営するジェイド・バリーさん。日本に出店して家族で移住するのが夢だといい、「留学生は学費と時間を浪費し、労働者は仕事を失っている」と訴える。

 日本が初めて入国規制を導入したのは安倍政権下の2020年3月。以来、ほぼ2年にわたって事実上、外国人の入国が不可能な状態が続く。昨年11月5日、政府は留学生らの入国規制の大幅緩和を発表したが、オミクロン株拡大を受け、再び全世界を対象にした厳しい入国禁止措置に戻している。

 「もう待っていられない」。…

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