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毎日新聞 2022/2/6 08:44(最終更新 2/6 08:45) 845文字




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式典に参加した新成人=横浜アリーナで2022年1月10日午後0時11分、牧野大輔撮影

 民法改正で4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることに伴い、18〜19歳は、保護者の同意のない法律行為を取り消せる「未成年者取り消し権」を行使できなくなる。知識や社会経験に乏しい新成人が悪徳業者に狙われたり、消費者トラブルに巻き込まれたりする可能性が高くなるとして、神奈川県消費生活課はホームページ(HP)に特設サイトを設け注意を呼びかけている。

 未成年は親の同意なく契約などを結んだ場合、民法の未成年者取り消し権で解除できるが、成人年齢の引き下げにより今まで対象となっていた18〜19歳には適用されなくなる。このため、18〜19歳がトラブルに巻き込まれる危険性が増すとの懸念がある。



 未成年に比べ、成人になった直後の方が消費者トラブルに巻き込まれやすいというデータもある。消費生活課によると、2019年度以降、県内の消費生活センターなどに寄せられた苦情相談件数のうち、契約当事者が20歳の相談件数は、19歳と比べて1・7〜1・8倍に増加した。悪徳業者が未成年者取り消し権の対象から外れて間もない20歳を狙い撃ちしている可能性もあるとみられる。

 相談内容で見ると、友人関係を利用して「簡単に大金を稼げる」「確実にもうかる」といった誘い文句で投資などを勧めるマルチ取引の相談件数は4・7〜7・5倍に増加。エステや美容医療の無料体験から「今日契約すればお得」などといって高額な契約をしてしまったといった相談件数は2・5〜5・5倍に増えている。



 県はHPで、こうしたケースについて動画などと併せて紹介している。「もうけ話をうのみにせず、契約前に家族など信頼できる人に相談を」と呼びかけるとともに、代金を支払った場合でも、契約成立後に解約ができるクーリングオフ制度や消費者ホットライン(局番なしの188)の活用を促している。

 このほか、県は公式ユーチューブやかながわ中央消費生活センターのSNSアカウント、保護者向けに作成したHPで動画などを使って情報発信をしている。【高田奈実】