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毎日新聞 2022/2/11 08:00(最終更新 2/11 08:00) 有料記事 2895文字




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千葉県立姉崎高校では、女子生徒にもズボン着用が認められた=千葉県市原市で2021年12月16日、長谷川直亮撮影

 なぜ女子はスカートしかダメなの? 下着の色をルール化する理由は? どうして恋愛禁止なの?――。「ブラック校則」が社会問題化する中、高校生たち自身がそうした「不合理な校則」の変更を求めて声を上げ始めている。文部科学省が2021年6月、この問題への対処を求める通知を全国の教育委員会に出した経緯も後押ししているとみられる。専門家は「校則を見直す動きは以前は学外から起きていたが、新たな流れが生まれている」と評価する。【南茂芽育、小林遥、佐藤英里奈】

女子もズボン可に
 21年12月中旬、千葉県市原市の県立姉崎高校では、ズボン姿とスカート姿の女子生徒が歓談する光景があった。

 同校は、男子のみとしていたズボンの制服を22年4月から女子にも認めようと、女子サイズのズボンを業者に発注する準備を進めていた。しかし、生徒会が21年6、9月に全校生徒に行ったアンケートで「『女子=スカート』は違う」「性的少数者に配慮すべきだ」などの意見があったことから、11月から男子サイズでも構わないという女子にズボンの購入・着用を認めた。早速ズボンをはくようになった磯貝茉莉愛(まりあ)さん(2年)は「足を出すのは好きじゃないし、寒い季節はズボンをはきたかった」と笑顔を見せた。

 生徒会メンバーを中心とした有志は今、新たに「スカート丈は膝下まで」「整髪剤禁止」などの校則も変えたいと動いている。スカート丈は、アンケートで女子の9割以上が改善を要望した。「長いと自転車のチェーンに絡まって危ない」「学校の和式トイレで裾が床に付いて汚れる」との言い分だ。

 生徒会は21年12月下旬、「スカート丈は膝頭の上端まで可」とする校則変更案を学校側に提出した。学校側は案を今月1カ月間試行し、違反がなければ加瀬直人校長が新校則として認める。

校則厳格化の経緯
 校則の見直しに柔軟に対応する加瀬校長は、15年の公職選挙法改正で選挙権年齢が20歳以上から18歳以上になったことを踏まえ、「18歳になった高校生にも選挙権が与えられるようになり、生徒も先生と同じ1票を持つ。『本当の大人』に近づくよう一歩踏み出し、主体的な取り組みを通じて何かを変える経験をしてみてほしい」と語る。

 だが、そんな加瀬校長も元から無意味な校則が続いてきたとは思っていない。約20年前、同校は退学者が続出し、定員割れする学校だった。…

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