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2022年02月12日07時17分




 政府が半導体など重要物資のサプライチェーン(供給網)強化のために行う新たな金融支援策の全容が11日、明らかになった。物資の安定確保に向けた日本政策金融公庫による融資資金の供給が柱。安定調達が困難だと判断した場合には、政府備蓄も可能とする。今月下旬にも国会に提出する経済安全保障推進法案に盛り込む。


 新たな金融支援策は、半導体や医薬品、レアアース(希土類)をはじめ、政府が推進法に基づき認定する「特定重要物資」の関連メーカーなどが対象。これら企業と取引する官民金融機関に日本公庫が貸付資金を供給し、供給網強化のための融資を支える。東日本大震災やコロナ禍での支援と同様の枠組みで、融資を実行する金融機関はメガバンクや有力地方銀行、日本政策投資銀行、商工中金などを想定している。
 重要物資を手掛ける企業のうち、中小事業者には借り入れに対する公的保証が受けやすくなる特例措置も講じる。また、供給網強化をサポートする公的機関などを「安定供給確保支援法人」に指定し、融資を行う金融機関への利子補給や事業者への助成を促す。
 支援策を講じても供給網を維持できない重要物資については、政府が推進法に基づく「特別対策」の対象に指定。物資を所管する閣僚の判断で、政府が備蓄のための措置を発動できるようにする。
 米国と中国の経済対立を背景に、重要物資や先端技術の確保が経済安保上の優先課題となっている。推進法案は「供給網強化」「基幹インフラの事前審査」「先端技術の官民協力」「特許非公開」の4分野で構成。政府は、推進法が今夏に成立・公布されれば、2024年までに順次施行したい考えだ。