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毎日新聞 2022/2/12 20:20(最終更新 2/12 20:20) 有料記事 3085文字




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米軍キャンプ・ハンセンのゲート=沖縄県金武町で2022年2月11日午後2時5分、喜屋武真之介撮影

 在沖縄米軍基地を中心に新型コロナウイルスの感染が沖縄県で急拡大した問題は、米側の甘い検疫体制を浮き彫りにした。地元では日本の法令が適用されない「特権」を米軍に与える日米地位協定の見直し論が強まり、通常国会でも取り上げられた。だが、政府は慎重姿勢を崩していない。

「不平等」地位協定、60年そのまま
 「沖縄の米軍基地からどんどんクラスター(感染者集団)が発生して、人命を危うくする事態に立ち至った」。7日の衆院予算委員会。共産党の赤嶺政賢氏(沖縄1区)は2021年末から沖縄県で急速に広がった変異株「オミクロン株」の感染を挙げ、いら立ちをあらわにした。赤嶺氏は「同じことが繰り返される危険がある」と強調。「日本の検疫法を米軍に適用する措置」を求めた。赤嶺氏が指摘するのは、日米地位協定の「弊害」だ。

 沖縄県では21年12月上旬に米軍キャンプ・ハンセン(金武<きん>町など)に米国から入った海兵隊の部隊でクラスターが発生。17日にはハンセンで働く日本人従業員のオミクロン株感染が判明した。28日には基地と関わりがない感染者が確認され、その後、一気に市中感染が広がった。米軍が感染を広げた可能性が高く、その要因として浮上したのが、地位協定の問題点だ。

 協定第9条は米軍関係者を対象に「外国人の登録」「管理」について「日本の法令の適用から除外される」と定める。

 日本は新型コロナ対策として21年11月末以降、入管法を根拠に外国人の新規入国を原則禁止している。それでも沖縄入りする米軍の部隊は米国から空路で嘉手納(かでな)基地(嘉手納町など)に入り続けた。…

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