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毎日新聞 2022/2/16 12:51(最終更新 2/16 12:51) 962文字




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神奈川県警=山本明彦撮影

 神奈川県警が扱った変死体の搬送を巡る贈収賄事件で、受託収賄罪に問われた元大和署警部補の加藤聖被告(48)は15日、横浜地裁(青沼潔裁判官)の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。加藤被告は被告人質問で、葬儀会社が県警の警察官に商品券を渡す慣習について「県内の54署全てでやっていると思う」と発言した。

 検察側は「警察官に対する信頼を失墜させた悪質な犯行」として、懲役2年6月を求刑。弁護側は「利欲的な部分は少ない」として執行猶予付き判決を求め、即日結審した。判決は3月15日。



 起訴状などによると、加藤被告は大和署刑事1課に所属していた2019年3月〜20年1月ごろ、変死体を搬送する際、元宮前署警部補の河合博貴被告(65)の妻恵子被告(60)=ともに贈賄罪で起訴=が実質的に経営する葬儀会社を遺族に優先的に紹介するよう河合被告らに依頼され、謝礼として現金127万円と約68万円の商品券を受け取ったとしている。

 加藤被告は被告人質問で、金品のやり取りが始まったきっかけについて、以前同じ職場の先輩だった河合被告から「何度も電話ですがりつかれた」と証言。渡された現金の大半は恵子被告の葬儀会社を勧めるために部下との食事などで使ったとし、商品券は葬儀会社に依頼してくれた部下に渡していたと説明した。



 県内では変死体を葬儀会社が搬送することが慣例となっており、加藤被告は県警と葬儀会社の関係について「(葬儀会社から)ビール券1万円を(搬送の)現場で渡される。54署全てでやっていると思う」と強調。「警察官になった時から(商品券のやり取りが)当たり前にあった」と述べた。

 現在の心境について問われると「機会は何度もあったのに、(慣習を)やめた方がいいと言うことができなかった。最終的にこういう形で県民を裏切ってしまい、心から反省している」と述べた。


「信頼害された」 贈賄で有罪判決
 贈賄罪に問われた河合被告と恵子被告に対し、横浜地裁は15日、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。青沼裁判官は「決して少額とは言えない賄賂で大和署からの受注額を大幅に伸ばした。警察の職務の公正に対する信頼は相当に害された」と非難。一方で加藤被告の積極的な指示があったことなどを執行猶予の理由に挙げた。【池田直】