https://www.sankei.com/article/20220220-FIJLRREVFBPGFG4ZXCDNGGMV6M/
2022/2/20 05:00



ガソリン価格が高止まりしている。

政府は先月下旬から石油元売り会社に補助金を支給して価格抑制に乗り出したが、その効果は限定的だ。ウクライナ情勢などによっては原油価格が再び急騰する恐れもあり政府は追加の価格抑制策の検討に入った。

自民党は3月末までとする支給期限の延長や補助額の大幅な引き上げを政府に求めた。補助金制度の拡大には具体的な効果の見極めが欠かせない。

世界的な原油の高騰で石油製品価格は大きく上昇している。今回の補助金では価格抑制の効果はあまり期待できない。期限を延長すれば、対策を延々と続けることになりかねない。

政府が市場価格に介入する対策は一時しのぎにすぎない。それより価格の高止まりが長期化した場合に備え、影響を強く受ける低所得者層や事業者に対象を絞った支援を検討すべきである。

ガソリン補助金は、レギュラーガソリンの全国平均価格が1リットルあたり170円を超えた場合、同5円を上限に元売り会社に補助金を支給し、ガソリンや灯油などの卸価格の引き下げを目指す対策だ。先月下旬に発動されたが、平均価格は171円を突破している。

経済産業省は卸価格に一定の抑制効果があったというが、店頭価格はガソリンスタンドが独自に設定しており、効果は不透明だ。とくにスタンドは中小・零細企業が多く、政府や元売りが値下げを強いれば、独占禁止法や下請法に抵触しかねない。

今回の補助金には、当初から効果に疑問の声があった。それだけに追加対策の検討にあたっては、際限なく補助金をつぎ込むような仕組みは避けるべきだ。ガソリンや灯油の価格高騰の影響を強く受ける世帯などに限定した支援制度を考える必要がある。

野党などにはガソリンにかかる税金を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を求める声もある。政府は税収の大幅な減少などを懸念して凍結解除に反対しているが、石油価格の高騰が続いた場合には、一部の凍結解除など柔軟な対応が求められる。

政府は米国の要請で備蓄石油の協調放出も進めているが、海外有事などに備える石油備蓄法は価格抑制を想定していない。多様な事態に備えて法律を改正することも必要である。