2022年02月19日09時30分




中央環境審議会の答申
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旧築地市場に入荷したアメリカザリガニ


 子どもの頃、田んぼの用水路や池で、友達と競い合うように夢中になったザリガニ釣り。泥だらけになりながら、たくさん捕ってはバケツに放り込み、夕暮れには大半を元の水辺に放し、自慢の大型「マッカチン」だけ家へ持ち帰った。あの楽しかったザリガニ釣りが、これからは気軽にできなくなってしまうのか。そして、知られざる食材、ザリガニ料理はどうなるのか―。(時事通信水産部長 川本大吾)

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 今年1月中旬、少々気になるニュースが目に入った。環境省の中央環境審議会が、生態系への影響が懸念されるアメリカザリガニとアカミミガメ(ミドリガメ)について、「野外放出」と「販売目的の飼育と譲渡」などを禁止する新たな対策が必要だと、環境相と農林水産相に答申した。

 アメリカザリガニは、自然界では相当な厄介もので、池に放すとヤゴやゲンゴロウなどの水生昆虫、小魚、両生類などを食べ尽くすほか、小魚などの産卵場となる水草も食べたり、切ったりしてしまう。水草には水質浄化機能もあるため、水質悪化の懸念もある。

 そんなネガティブな情報を知ることなく、子どものころからザリガニ釣りは大好きだった。最近は釣るポイントを見つけるのに苦労するが、手軽な遊びとして大人になってからも何度か没頭した。落ちている木の枝にタコ糸を結び、その先に「さきイカ」などをくくり付けて池の中へ。「ぐいっ」と引きを感じて釣り上げると、赤黒いアメリカザリガニが姿を現す。



 岩場や泥水の中に隠れているところを、セミ捕り網などで強引にすくい捕ったこともあったが、釣れたらバケツなどに入れ、鋭利なはさみに気を付けながら、背後から指を伸ばし、つかみ上げては迫力ある姿を眺めていた。

 夕暮れも近付き、ザリガニ釣りを堪能した後は、バケツをひっくり返して池に戻したものだ。これが、「放出禁止」になったら、釣ったザリガニをすべて持ち帰らなければならないのか、と思うと気が重くなる。釣りが終わったら家に直行しなければならず、寄り道もできない。

 東京都内の公園などでは「生物の持ち出し禁止」で、たとえアメリカザリガニを池で釣っても、元の場所へ戻さなければならない公園もあるが、放出禁止となれば話は変わってくる。

「キャッチ&リリース」は容認の方向
 環境省の関係部署へ尋ねてみると、必ずしもそうではないようだ。アメリカザリガニの規制などを盛り込む外来生物法の改正案は、同省が今国会に提出する予定で、具体的な規定は2023年春ごろに政令や省令で定められてから、施行される見通し。

 答申は、アメリカザリガニを特定外来生物に指定し、規制すべきというものではない。既に飼育されている量が少なくないため、指定すれば一斉に放流されかねないという懸念が生じ、自然環境への逆効果になると考えられているからだ。



 既に、特定外来生物に指定されているブラックバスでも「キャッチ&リリース」は全面禁止されているわけではない。それを考えればアメリカザリガニも、釣ってその場で放すことが禁止される可能性は低いというわけだ。

 公園などでアメリカザリガニを釣った場合、他の池に放したり、いったん自宅へ持ち帰ったりしてしまえば、同じ場所でも再び池へ放すことは禁じられそうだが、「キャッチ&リリース」は容認される方向だ。ルール改正はこれからだが、遊びの一環で釣り上げても、その場で放すのは認められるというのなら、ザリガニ釣りはこれまで通り、楽しめるのかもしれない。


続きはソースで
https://www.jiji.com/jc/v8?id=20220217fishtopics