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毎日新聞 2022/2/20 15:00(最終更新 2/20 15:00) 693文字




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ロシアの侵攻に備え、ウクライナ国防省傘下の「地域防衛隊」の軍事訓練で木製小銃を構える市民。性別、年齢、職業はさまざまだ=キエフ郊外で2022年2月19日午前、真野森作撮影

 「準備、攻撃! もう一回!」――。ウクライナ情勢の緊張がさらに高まる中、首都キエフ郊外の廃工場の敷地で19日、毎週土曜恒例の「地域防衛隊」の軍事訓練が報道陣に公開された。性別、年齢、職業、軍事経験もさまざまな市民の有志が木製の小銃などを構え、ロシア軍による万一の侵攻に備えていた。

 外気温4度。ザラメのようなみぞれがちらつく中、約200人が数班に分かれて職業軍人から指導を受けた。コンクリートの廃虚が点在する荒れ地で、片膝をついたり、伏せたりしながら射撃する姿勢を繰り返し練習した。




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ロシア軍の侵攻に備え、ウクライナ国防省傘下の「地域防衛隊」の軍事訓練で小銃を構える市民。性別、年齢、職業はさまざまだ=キエフ郊外で2022年2月19日午前、真野森作撮影

 「射撃訓練の経験はある」という初参加の自営業の男性ビターリーさん(31)は「戦争勃発を危惧している。侵攻されれば武器を取って祖国と家族を守る」と語る。保険会社員の男性エフゲニーさん(46)も「もちろん私たちは平和を望んでいるが、現在はかなり危機的な状況だ」と強調した。

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ロシア軍の侵攻に備え、ウクライナ国防省傘下の「地域防衛隊」の軍事訓練で小銃を構える市民。性別、年齢、職業はさまざまだ=キエフ郊外で2022年2月19日午前、真野森作撮影

 法律職の女性ビクトリヤさん(45)は、ウクライナ東部での親露派武装勢力との戦闘に義勇兵として参加した経験を持つ。「普通の生活に戻っていたが、ロシアが国境に迫る中、準備しておかなければと感じている」と冷静な表情で語った。



 地域防衛隊は国防省傘下の組織で、有事には軍部隊が到着するまで地域の治安を守るなどの役割を負う。広報担当のセルゲイさんは「昨年春にロシア軍がウクライナ国境沿いに大部隊を展開して以来、人々は脅威をより実感するようになり、参加者が増えている」と話した。

 ロシアがウクライナに侵攻する可能性を巡り、バイデン米大統領が18日の演説で「キエフも対象になると考えている」と述べるなど、危機感が高まっている。【キエフ真野森作】