ロシア軍によるウクライナへの侵攻で、日本は試練を迎えた。米国とロシア(旧ソ連)、米国と中国の関係が同時にここまで緊張するのは、朝鮮戦争があり、米ソの核軍拡競争のさなかに中国も核保有国となった冷戦の前期以来だ。日本はそのはざまにある。岸田文雄首相は25日の記者会見で「G7(の欧米諸国)と緊密に連携」と繰り返したが、問われているのは日本自身の外交努力と、それを支える戦略だ。

 台頭する中国と、軍事大国ロシア。岸田内閣はウクライナ問題が緊迫の度を強める中、二つの隣国と同時に対立する事態を避けようと腐心していた。

 これは、中国による国際法を軽視した海洋進出が顕著になった安倍内閣当時からの懸案だった。「北方領土問題の解決を急いでロシアに近づき、中国からの圧力を弱めよう」「いや、そんなことで中ロは分断されない」。首相ブレーンらの議論は割れたが、安倍内閣は前者へ傾き、北方領土交渉で柔軟な姿勢を示した。

 しかし、日本の背後に米国を…(以下有料版で,残り1243文字)

朝日新聞 2022年2月26日 22時15分
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