ウクライナのゼレンスキー大統領は26日夜公開のビデオ声明で「国を解放するまで戦い続ける」と表明した。ロシア軍は首都キエフの制圧を狙い、攻撃を一段と強めている。ゼレンスキー氏は「真実は私たちの側にある」と述べ、独立の維持に向けて徹底抗戦を続ける構えを示した。27日未明には、首都キエフ南方の飛行場で燃料タンクが爆発し、大規模な火災が起きた。戦闘の激化が懸念されている。

ロシアは26日にウクライナが停戦交渉を拒否したと主張し、軍事作戦の再開を宣言した。ウクライナ側は停戦を拒否したとの指摘を否定。ロシアが軍事作戦を中断したと主張する間にもキエフにミサイルが撃ち込まれるなど各地で攻撃は続いていた。

ゼレンスキー氏はビデオ声明で「強く、勇敢なウクライナ人を世界中が見ている。ウクライナは国を守る用意がある」と力を込めた。「真実は私たちの側にある」とも述べ、ロシアに屈しない姿勢を改めて強調した。

国際社会の支援を取り付けるため、外交努力を続けているとも説明した。米欧が合意した国際決済網の国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシアの大手銀行を排除する措置にも触れ、謝意を示した。ロシアがウクライナ侵攻で巨額の損失を被っているとして「(プーチン政権が計画した)占領のシナリオは破壊されている」と国民を鼓舞した。

ロシアはウクライナに送る兵員をさらに増やして攻撃を強めている。現地報道によると、27日未明にはキエフの南方約40キロメートルに位置する飛行場で燃料タンクが爆発し、大規模な火災が起きた。飛行場はキエフに続く要衝で、周辺では26日にも激しい戦闘が伝えられていた。

ウクライナ当局はロシア軍が発電所などのインフラをまず標的にすると警戒していた。電力や暖房などの供給を断ち、住民をパニックに陥れる狙いがある。ロシア軍との激戦が続く東部ハリコフで27日未明にガスパイプライン施設が攻撃を受け、大規模な爆発が起きたとの報道もある。

日本経済新聞 2022年2月27日 11:12
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB270SY0X20C22A2000000/?n_cid=SNSTW001&;n_tw=1645928251