【モスクワ=小柳悠志】ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、ベラルーシとの国境付近でロシアとの停戦交渉に応じる意向を示した。ロシアのプーチン大統領は27日、米欧の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)側が攻撃的な発言をしているとして「核抑止力部隊」を厳戒態勢に移行させるようショイグ国防相らに命じた。核兵器の限定的な使用をちらつかせて、米欧諸国やウクライナを揺さぶる狙いとみられる。
◆第2都市ハリコフで激戦
 ロシア軍は27日、東部にある第2の都市ハリコフに侵入し中心部で激しい戦闘が起きたが、ハリコフ州知事は「敵を撃退した」と明らかにした。現地メディアが伝えた。
 26日夜には、ハリコフにあるガス輸送管や首都キエフの石油基地がロシア軍の攻撃を受けた。ロシア国防省はハリコフ郊外でウクライナのミサイル部隊471人が投降したと発表したが、ウクライナ政府は「偽情報」と否定している。
 ハリコフは人口140万。軍需など製造業が盛んなため、ロシアの標的にされると懸念されていた。キエフではウクライナ軍の対戦車ミサイル攻撃や市民の抵抗でロシア軍が押しとどめられているもようだ。
◆避難民は36万8000人に
 ウクライナ非常事態省は27日、ロシア軍の攻撃によりハリコフやキエフなどで新たに民間人10人余りが死亡したと明らかにした。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は27日、ウクライナの避難民が36万8000人に上ったと発表した。
 ロシアのペスコフ大統領報道官は27日、停戦交渉を行うロシア使節団がベラルーシ南東部ゴメリに到着したと発表。ゼレンスキー氏は交渉に前提条件は付けないとしている。ゼレンスキー氏は、これまでロシア軍の侵攻に協力しているベラルーシ以外での開催を求めていた。
 ロシアはウクライナに対し、政権交代を含めた「無条件降伏」のほか、2014年のウクライナ南部クリミア半島の併合を承認するよう要求するとみられる。

東京新聞 2022年2月27日 23時48分
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