佐賀県唐津市で2019年、国の特別名勝「虹の松原」の松が折れて車に衝突し、乗っていた小学5年の男児が死亡する事故があり、母親ら遺族3人は28日、松の適切な管理を怠ったことが原因として、国と県、市を相手に計約3000万円の損害賠償を求める訴訟を佐賀地裁に起こした。

 訴状によると、唐津市の県道で19年7月20日、折れた長さ約1メートルの松の枝が走行中の車に落下。フロントガラスを突き破って助手席にいた小学5年の川崎辿皇君に衝突し、辿皇君は死亡した。

 松原は国が所有。国の委託を受けた市が伐採許可に関する事務を行い、県は県道沿いの樹木を管理する義務があるという。
 原告側は、県が12年に事故の原因となった木を含む26本の松について「放置すれば重大な事故が発生する恐れがある」として伐採許可を求めたのに、国と市は「別の木を伐採したばかりだ」として許可しなかったと主張している。
 母親の内山明日香さん(39)は提訴後に記者会見し、「一本の木が命を奪う危険性がある。悲しい思いをする人がこれ以上出ないよう、しっかり管理をしてほしい」と話した。
 佐賀県の話 訴状が届き次第、内容を精査して適切に対応する。
 唐津市の話 訴状が届いておらず、内容が分からないのでコメントを控える。

時事通信 2022年02月28日22時24分
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