【ニューヨーク=中山修志】米フォード・モーターは2日、電気自動車(EV)事業をガソリン車事業から分離し、独立採算制にすると発表した。成長分野に投資を集中してEVシフトを加速する。2030年までに世界販売の5割をEVにする計画だ。

EV事業を「フォードモデルe」の名前で分離する。ガソリン車の「フォードブルー」、商用車の「フォードプロ」を合わせた3事業を、フォード本体の傘下で独立採算体制で運営する。一部メディアが報じていたEV事業の分社は実施せず、社内で分業体制をとる。

ジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は「事業ごとに補完的な分業体制をとることで、新興企業の成長スピードと新興企業にはないノウハウ・規模を両立する」と狙いを説明した。26年までに年間200万台以上のEVを生産し、世界販売の3分の1をEVに切り替える。30年までに世界販売の半分をEVにする計画だ。

一部の投資家は、大手メーカーにEV事業を分社して企業価値を高めるよう求めている。フォードは分社化ではなく、独立採算にすることで投資効率や収益の透明性を高められると判断した。ゼネラル・モーターズ(GM)の経営陣もEV事業の分社化には慎重な考えを示している。

日本経済新聞 2022年3月2日 22:44
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02DI90S2A300C2000000/