ブリンケン米国務長官は5日、ロシアによるウクライナ侵攻に関して、中国の王毅国務委員兼外相と電話で協議した。ブリンケン氏は王氏に「世界は、どの国が自由や民族自決、主権といった基本的原則のために立ち上がるか注視している」と強調。中国が国連総会で対露非難決議を棄権したことを念頭に、中国にロシア寄りの姿勢を改めるよう暗に求めた。

 米国務省によると、ブリンケン氏は電話で、ロシアのウクライナ侵攻への対応で「世界は一致して行動している」と指摘。「ロシアが高い代償を支払うことになるのは確実だ」と述べ、関係国が協力し経済制裁を強化していく考えを伝えた。

 中国はロシアによる軍事行動を「侵攻」とは認めておらず、各国の制裁措置にも距離を置いている。一方で、国連総会に先立つ国連安全保障理事会の対露非難決議案では拒否権を行使せず、棄権した。

 「民主主義と専制主義の闘い」を掲げているバイデン政権は中露接近を警戒しつつ、中国がウクライナ危機に関しロシアにより批判的な姿勢を示すよう促していく考えだ。【ワシントン鈴木一生】

毎日新聞 2022/3/6 06:08
https://mainichi.jp/articles/20220306/k00/00m/030/030000c