【フランクフルト=深尾幸生】ドイツ政府は5日、国内初となるLNG(液化天然ガス)輸入ターミナルの建設でオランダのガス大手ガスニーなどと基本合意したと発表した。ドイツは天然ガスの過半をロシアからのパイプラインでの輸入に頼っている。LNGを活用して調達源を多様化することでロシア依存度を下げる狙いだ。

LNGターミナルはドイツ北部のブルンスビュッテルに建設し、ドイツの年間消費量の約1割に相当する80億立方メートルの再ガス化能力を持つ。完成時期について経済・気候省は「できるだけ早く」とし、具体的な時期は示していない。ドイツ通信は3〜5年との地元の政治家の見解を報じた。

政府系金融機関のKfWとガスニー、独電力大手RWEが覚書を結んだ。KfWがドイツ政府を代表してLNGターミナルの株式の50%を取得する。ガスニーとRWEはそれぞれ40%と10%で、ガスニーが運営を担う。

将来的には、再生可能エネルギー由来の「グリーン水素」やその派生燃料のターミナルに転用できるようにし、脱炭素にも気を配る。ハベック経済・気候相は声明で「ガス使用量を減らすことが必要なのは明らかだが、ロシアがウクライナに侵攻している今、ロシアからの輸入依存度を一刻も早く下げることが急務だ。LNGターミナルはドイツと欧州のエネルギー安全保障強化に役立つ」と述べた。

ドイツのショルツ首相は2月27日に、ロシア産ガスへの依存を下げるためドイツに2つのLNGターミナルを建設する方針を示していた。

日本経済新聞 2022年3月6日 5:36 (2022年3月6日 6:26更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR055RH0V00C22A3000000/