非核三原則「持ち込ませず」に例外余地 核搭載した米艦の寄港巡り岸田首相 民主党政権の見解「引き継ぐ」

 岸田文雄首相は7日の参院予算委員会で、非核三原則の「持ち込ませず」を巡り、有事に際して例外的な対応を取る可能性があるという認識を示した。核兵器を搭載した米艦の一時寄港を認めなければ日本の安全が守れない場合、「その時の政権が命運をかけて決断し、国民に説明する」とした2010年の民主党政権時代の政府見解を「岸田内閣も引き継いでいる」と述べた。立憲民主党の小西洋之氏の質問に答えた。
 一方で、首相は、米軍の核兵器の共同使用を前提に平時から日本国内に配備する「核共有」について「『持ち込ませず』とは相いれない」と指摘。「持たず」「つくらず」を含めた非核三原則を「国是として堅持している」と語った。
 林芳正外相は、米欧の軍事同盟・北大西洋条約機構(NATO)が採用している核共有政策に関して、米大統領らの承認なしに核兵器の使用ができない仕組みだとして「管理権が全て(配備先の非核兵器国に)あるとは言えない」と説明。仮に日本が導入しても、非核三原則の「持たず」には抵触しない可能性を示唆した。小西氏は「戦略核を核共有すれば憲法9条に反する」と主張した。
 ロシアのウクライナ侵攻を受け、自民党内では安倍晋三元首相ら保守派を中心に、非核三原則の見直しや米国との核共有の検討を求める声が上がっている。
 安倍氏に近い自民の高市早苗政調会長は7日、非核三原則の「持ち込ませず」の見直しについて「日米同盟の抑止力に実効性を持たせる点で議論の余地がある」と記者団に語り、党内論議の開始に意欲を見せた。公明党の竹内譲政調会長は「党として今のところ議論する予定はない」と否定的な考えを示した。(川田篤志、佐藤裕介)

東京新聞 2022年3月7日 19時07分
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