新型コロナウイルスの第7波で感染者が過去最多を更新する中、福岡市内で唯一、感染が疑われる患者を休日に受け入れる外来を持つ市急患診療センター(同市早良区)に3連休の16~18日、患者が殺到した。中には7時間以上待たされる患者も。本紙記者(42)も高熱が出た長男(2)を連れ受診し、混乱に巻き込まれた。 (小川俊一)

 長男は18日夕、前夜の発熱がぶり返し38度9分。市の相談窓口に電話し、大混雑だと聞いたが他の選択肢はなく、雨中、車で約20分のセンターに向かった。

 午後5時半過ぎ、現地は敷地を取り囲むように車道に車の列。交通整理の男性が「駐車まで2、3時間です」。時間短縮を図ろうと、妻(41)と運転を代わり受け付けに向かった。

 病棟の出入り口前で目の当たりにしたのは、老若男女の人だかりだ。長さ約30メートル、幅約3メートルの建物のひさしの下に、見える範囲で50人以上がひしめき、その間をフェースシールドを着け、青い医療用ガウンを着た職員が走り回っている。

 「会計 診察後7時間待ち」。ホワイトボードの文字を見て絶望しつつ、ひさしの外まで延びた行列に並んだ。周りの人たちはしゃがみこんだり、うなだれたり。隣の女性は抱っこした赤ちゃんをぬらすまいと必死だった。

 受付で問診票と抗原検査キットを渡され、まだ路上の車に戻り、長男の鼻に綿棒を突っ込んだ。午後7時前に提出して「受付番号札」を受け取ると、今度は車で待機し、約1時間後に診察。医師に「夏風邪ですね」と言われほっとした。

 ただ、ここからが長かった。車中で待てども会計に呼ばれず、午後10時過ぎ、様子を見に行くとホワイトボードには「現在 15時受診の方の会計呼び出し」。計算すると日をまたぐ。車に長女(7)を乗せていたこともあり、家族を降ろそうと出発。自宅に着いた瞬間に呼び出しの電話が鳴り、舞い戻った。結局、約6時間の「受診」となった。

 市によると、感染者数の急増に加え、3連休でかかりつけ医の受診ができないため、患者が殺到したとみられる。担当者は「運営委託先の市医師会と改善を協議していきたい」。

 医療現場の頑張りは実感できた。ただ、車の中であっても患者が長時間待たされる状況は異常で、今後もこのようなことが起こる可能性はある。早急な改善を求めたい。

西日本新聞 2022/7/20 6:00 (2022/7/20 11:50 更新)
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