神奈川県は、生活の豊かさを実感している人の割合が全国最高――。こんな結果が、東京大や慶応大の研究者でつくる
一般社団法人「ウェルビーイング学会」による調査で明らかになった。県の健康寿命政策などが県民の前向きさにつながっているとみている。

 2021年設立の学会が、同年4~6月期から四半期ごとに調査してきた。今回は22年7~9月期で、8日に初めての
調査結果を公表した。それによると、生活の豊かさをどれくらいの人が実感しているかを示す指標GDW(国内総充実)は
県で30・7%を占め、都道府県別でトップだった。全国平均は27・0%だ。
 学会によると、GDWは、経済的な豊かさを客観的に示すGDP(国内総生産)に対し、主観的な指標。国連やOECDも採用しているという。
 調査は電話で、全国1012人が有効回答した。内容は、対象者に現状と5年後の生活を10点満点で自己評価してもらう。
現状を7点以上かつ5年後が8点以上の人を生活の豊かさ実感が「高い」、現状と5年後が各4点以下の人を「低い」と判定。
統計的推計を加え、都道府県別の割合を算出した。

 県は、調査開始以来6期連続で高い人の割合が全国トップを走り続けているという。「低い」も東京に次ぎ全国2番目に低い8・9%だった。
 県庁で会見した学会副理事長で、東京大公共政策大学院の鈴木寛教授は、県が生活の豊かさを実感する人が多い理由について
1人当たりのGDPや人とのつながり、健康寿命の長さを挙げた。「県は健康寿命政策にフォーカスしており、新型コロナウイルス対策にも
果敢に取り組んできた。その姿勢と努力に、県民が健康維持向上のポジティブなイメージを持てているのでは」と分析した。
 学会は今後、四半期ごとに調査結果を公表する予定だ。【岡正勝】

都道府県別で生活の豊かさが「高い」人の割合
(1)神奈川 30.7%
(2)東京  29.4%
(3)兵庫  28.3%
(4)大阪  27.7%
(5)福岡  27.6%

毎日新聞 2022/12/11 11:30
https://mainichi.jp/articles/20221211/k00/00m/040/081000c