重い心臓病となった1歳の女の子がアメリカで心臓移植を受けるため、5億3000万円を目標に行われていた募金活動で、支援者が12日、目標の金額が集まったと発表しました。
円安の影響などで費用が高額となっていましたが、およそ1か月で集まり、両親は「命をつなぐスタートラインに立たせていただくことができました。感謝の気持ちしかありません」とコメントしています。

東京 豊島区の佐藤昭一郎さんの次女、葵ちゃん(1)は、心臓の壁にあいた穴を塞ぐ手術を受けたあと、重い心不全の状態になり、アメリカの病院での移植を目指して先月から募金活動が行われていました。

募金の目標金額は、現地での医療費や補助人工心臓をつけた状態での渡航に必要なチャーター機の費用などに加え、円安の影響もあって5億3000万円と高額になっていましたが、支援者でつくる「あおちゃんを救う会」によりますと、12日の時点で目標の額が集まったということです。

葵ちゃんは来月以降に渡航できるよう準備を進めるとしています。

日本国内では、心臓移植を待つ10歳未満の患者は、ことし10月末時点で44人に上っています。

▼両親 オンラインで会見「驚きと感動と感謝でいっぱい」

佐藤葵ちゃんの心臓移植に必要な費用が集まったことを受けて、両親はオンラインで会見を開きました。

この中で、父親の佐藤昭一郎さん(41)は「募金を呼びかける前は本当に必要な金額が集まるのか不安もありましたが、多くの人から温かいことばや支援をいただき、驚きと感動と感謝でいっぱいです。移植を受けられるまでは、感染症などのリスクもあり、心配な部分があるので、なるべく早くアメリカへ渡れるように準備を進めていきたいです」と話していました。

また、母親の清香さん(38)は「葵は最近よく笑うようになり、好き嫌いや、もっと自分にかまってほしいという気持ちが、わかりやすくなっていて、成長を感じています。海外での移植については、渡航自体にリスクもあるうえ、環境も変わるので、国内での移植を希望していましたが、現状はすぐには変わらないので、娘の命をつなぐためには今回の選択肢しかなかったと思います。移植費用が集まったことでスタートラインに立つことができたので、ここからは家族と医療者で全力で葵を支えていきたいです」と話していました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221212/k10013920361000.html