猛暑の日も、雨の日も10年以上にわたり、声を上げ続けてきた。朝鮮学校が高校無償化や補助金支給の対象から排除されていることに抗議するため、大阪府庁前で続けてきた「火曜日行動」が今月13日、500回を迎えた。韓国からの支援者を含めた約300人が参加。大阪城公園(大阪市中央区)での集会後、府庁周辺を行進し、「行政による差別をやめてほしい」と訴えた。

拉致問題理由、高校無償化されず
 「高校無償化が発表された時、私たち全国のオモニ(母親)が喜んだことを鮮明に覚えている。しかし、子どもと全く関係ない拉致問題を理由に無償化から排除されてしまった」。長男と長女が大阪朝鮮中高級学校(東大阪市)に通う同校オモニ会会長、梁淑子(リャン・スクチャ)さん(44)は集会で無念の思いを訴えた。その上で「これからも日本の方々や同胞の支援を受け、今後も闘っていきたい」と語った。


 韓国の支援団体「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」共同代表の孫美姫(ソン・ミヒ)さん(58)も駆け付け、「教育を受けるという当たり前の権利を保障し、子どもたちに笑顔と力を与えましょう」と呼びかけた。

 政府は2010年に高校無償化制度を導入。多くの外国人学校を無償化対象とする一方で、在日コリアンの子どもが通う朝鮮学校については日本人拉致問題などを理由に対象から排除した。府や大阪市も従来支給していた補助金を停止。各朝鮮学校とも運営費の確保に苦しみ、保護者の負担も増している。府内に8校ある朝鮮学校は来春5校に再編される見通し。


国連機関が是正を要求
 朝鮮学校への差別的な取り扱いについては、国連の各機関が日本政府に対し、是正するよう繰り返し求めているが、政府は応じていない。

 火曜日行動は2012年4月にスタート。府庁前で毎週火曜日、日本人の支援者が中心となり活動を続け、朝鮮学校の保護者らも交代で参加してきた。立ち上げメンバーの一人で元小学校教諭の大村和子さん(79)は「無償化が実現しないまま、ここまで活動が続くとは思わなかった。あきらめずに前に進みたい」と話した。【鵜塚健】

毎日新聞 2022/12/24 07:00(最終更新 12/24 07:00) 874文字
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