演劇や映画界のハラスメント問題に取り組んできた馬奈木厳太郎(まなぎいずたろう)弁護士(47)が1日、裁判で代理人を務めた依頼者に「セクハラを行ってしまった」と、自身のブログで明らかにした。「被害相談を受けてきた者として、被害者の信頼を裏切った」と謝罪した。

 ブログによると、馬奈木氏は数年来の知り合いだった相手に好意を抱き、相手も好意を寄せていると思い込んで、体に触れたほか、体の部位に言及したり性的な関係を迫ったりするメッセージを送った。相手からは拒まれたが、「依頼を受けていた裁判の対応にまで言及して、追い込んでしまった」という。

 昨年末に相手から弁護士会に懲戒請求が出されたことで、苦しみを知ったと告白。「卑劣な、人として許されない行為で、深く謝罪します」とした。

原発訴訟の事務局長も
 今回の公表は「被害を救済すべき弁護士が被害を生じさせた」ことを踏まえて決めたと説明した。今後はハラスメント講習の講師などは行わないという。

 馬奈木氏は原発事故をめぐる避難者訴訟の弁護団事務局長も務めていたが、昨年12月に「体調不良」を理由に退任を申し出ていた。(村上友里)

朝日新聞 2023/3/1 21:27
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