2023年03月17日 11時13分

「万人に好かれるリーダーも、今の時代はしんどいんちゃいますかね」。そう語る明石市の泉房穂市長。子育て政策が度々注目されてきた明石市だが、犯罪被害者、LGBTQ+など幅広い政策に取り組んできた。どんな思いで政治家となったのか。泉市長の原点についても、エッセイスト・紫原明子氏が聞く。

●「明石は子どもの町で、優しい町」

(紫原)コロナや物価高騰などで、市民の生活がどんどん苦しく、厳しくなっていく中で、他者に対する思いやり、優しさをもつのが難しくなってきているのかもしれません。市長の著書(「社会の変え方」)の中に、子育て支援政策を進める中で、町の人の価値観も変わってきて、思いやりが育まれてきたとありました。

(泉)最近、市民から「町が優しくなった」と、ほんまによう言われます。私自身が「優しい町をつくりたい」と思って政治を志し、困った時に自然に支え合い助け合う、そんな町を作りたいと思っていたので、そういう観点からするとありがたい言葉なんです。

具体的にいうと、昔は子どもが泣いていると、ちょっと冷たい目をされたけど、今は子どもが泣いていても、みんな微笑ましい顔をすると。障がいをお持ちの方からも「ちょっと前までは駅前行きにくかったけど、今は重い荷物持ってたらもう次々に声かけて『荷物を持ちますよ』とか『どうぞ』という町に変わった」と。本当に声を掛け合うというか、そういう町に変わったと。


●「配慮」だけではなく「見える化」のメッセージングが必要

(泉)私が強く意識したのは、例えば障がいをお持ちの方に対する配慮というテーマですけど、これも単に「配慮してください」ではダメなのであって、見える化が要るんです。

明石市では「市が全額を助成しますので、段差が2段あれば2段の段差を解消する簡単なスロープを付けてください」とか、「筆談ボードを飲食店に置いていただけませんか?全額持ちます」とお願いしました。今は、市内のほぼ全てと言っても良いぐらいのお店に筆談ボードが置かれ、メニューは次々点字化していってます。

それが使われなくてもいいんです。メッセージです。町の風景が変わると、人は優しくなれると思います。口、気合いだけでは駄目で、見える化が要ります。町の風景が変わって人の気持ちが変わり、そして町が、人が優しくなって暮らしやすくなる。順番だと思っているので、それはかなり強く意識してやってきました。

●少数者的立場にスポットを当てることで「安心」が生まれる

(紫原)私は子育てをしていて、何か強烈に拒否されたことはないんですけど、いい母親なのか、迷惑をかけない母親なのかジャッジされているような気持ちになることはたくさんありました。マイノリティーの立場になると、普段は開かれてる扉が全部自分の前で閉まっているような気持ちを抱えてしまいますよね。

(泉)政治というのは少数者のためにあると考えています。光と影の光はもう光ってるんですから、影の部分に光を当てるのが政治。そもそも人は、多数(側に立つ)面もあるし、少数(側に立つ)面もあるんです。多数の時は自分でやれるんです、少数になると誰かの助けが要るんです。

この少数者的な立場に対して、政治行政が手を差し伸べる、光を当てる制度を作ると安心が生まれるんですね。明石がやろうとしているのは、その政策です。本来の政治行政の役割と思っています。

●罪を犯した人にも「お帰りなさい」と言える町に

●市長の発信するメッセージを最初に受け取ってくれるのは市民

●子ども支援に所得制限をもうけない理由

●「市長になって町を優しくする」と自分に誓ったから

●市民のすべきアクションとは

     ===== 後略 =====
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