2023.04.21

阿古 真理作家・生活史研究家




コーヒーが“お茶”として出されるようになった

東京は、コーヒーの町である。コーヒー推しの飲食店であるチェーンのカフェはもちろんたくさんあるし、都心を中心に観光地、人気の町などには、こだわりのコーヒーを出す個人のカフェ・喫茶店も多い。

最近は、コーヒー豆専門店もずいぶん増え、カフェがなくてもコーヒー豆専門店はあったりする。専門店以外でも、カルディーコーヒーファームなどコーヒー豆を扱うチェーン店がたくさんある。

もちろん、地方でもコーヒーを看板にするチェーン店、こだわりの自家焙煎珈琲を出すカフェ・喫茶店、コーヒー豆専門店は多い。ただ、地方に行くと、産地であることもあってよく日本茶を飲む静岡県、外国文化がいち早く入った歴史が長い神戸市を筆頭に、関西地方は紅茶を好む人が多い、ウコン入りのウッチン茶がペットボトルでも売られる沖縄県など、コーヒー以外の嗜好飲料も人気の地域が存在する。

しかし、東京ではコーヒーが何度も流行したからか、最近はすっかりコーヒーが人をもてなす際に出す定番の飲料になってきた。訪問先で、急須で淹れた日本茶が出された時代は遠い昔。そしてコーヒー豆を販売する店に事欠かなくなったせいか、この10年ほどでコーヒーをギフトでいただく機会が増えた。

人をもてなす際、コーヒーを出す場面は確かに多くなったが、誰もがコーヒーを飲むわけではない。宗教上の理由や体質、好みの問題で飲めない人も、けっこういるのではないだろうか。

私はこれまで何人もコーヒーを飲めない人に出会ってきたし、私自身も子どもの頃からお茶党で、日本茶・紅茶・中国茶をよく飲むためか、もともと後味が気になっていたコーヒーを飲むのがますますつらくなってきた。

なぜ、苦手な人がいる可能性を考慮しない人が、これほど多くなったのだろうか?

新生活を始めた人が多い今だからこそ、改めてコーヒーがデフォルトになった理由を考えてみたい。

https://gendai.media/articles/-/109231


繰り返し起こるコーヒーブーム
https://gendai.media/articles/-/109231?page=2