2023-04-27 12:00ORICON NEWS

 ニッポン放送では、19日に死去した芸能プロダクション「Andmo」の代表取締役・井出智さんの声を届ける特別番組『井出智命の声~HPV・子宮頸がんを伝えたい~』を5月4日に放送する(後5:00)。

 井出さんは、30代半ばだった2019年に、腹痛が続いたことがきっかけでクリニックを受診し、その後大学病院で検査したところ、子宮頸がんが発覚。子宮全摘出の手術や放射線治療などによって治療を行ったものの、
20年に子宮頸がんが再発し、22年10月、有効な治療法がない状態となり、余命3ヶ月と告げられた。そうした中で井出さんは、子宮頸がんになる女性を減らすため、自らの経験を発信したいと考え、さまざまなメディアで発信をしてきた。

 国立がんセンターの統計データ「子宮頸がん」によると、19年に日本全国で子宮頸がんと診断されたのは1万879例。20年に子宮頸がんで亡くなったのは2887人となっている。日本での25~40歳の女性のがんによる死亡の第2位は、子宮頸がんであり、
一生のうちに子宮頸がんと診断される人の割合は76人に1人という統計がある。子宮頸がんの主な原因は性行為で「ヒトパピローマウイルス」に感染することだが、その感染を防ぐためのワクチンがある。

 「子宮頸がんワクチン」は、小学6年生から高校1年生相当の女性を対象に、定期接種として無料で接種できる。10年前、このワクチン接種後、さまざまな症状が出たとの訴えを受けて、国は一時的に接種を“積極的に呼びかけること”をやめた。
その後の研究でワクチンの安全性が確認され、昨年4月“呼びかけ”を再開。2022年4月から9月までの間で、1回目の接種率は約30%にまで上がったが、海外の80%に比べるとまだまだ低い状態となっている。

 今年4月、「子宮頸がん」の原因ウイルスの約9割を予防できる「9価ワクチン」の無料接種も始まった。1997年度生まれまでの女性も今なら無料で接種でき、子宮頸がん予防は新たな段階に入っている。

 井出さんは、19日の正午からラジオの収録に臨んだ。東京・有楽町のニッポン放送のスタジオにて、事務所に所属する俳優の宮地真緒がパーソナリティーを担当。井出さんは療養先である沖縄からリモートにて出演した。
井出さんは、吐き気や倦怠感に襲われながらも自身の今の状況や子宮頸がんの予防についてなど、力を振り絞って話した。その収録から数時間後、井出さんは同日夜に家族に見守られながらその生涯に幕を閉じた。

 今回のラジオ番組は、井出さんの家族とも話を行い、井出さんの死を伝えた上で、子宮頸がんについて多くの人に知ってほしいという生前の井出さんのメッセージを、ラジオを通じて発信していく。また放送後は、ポッドキャスト番組としても配信される。

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