英語の「話す力」を東京都立高入試に使うため、昨年から始まった英語スピーキングテストを巡り、都教育委員会は13日、出版大手「ベネッセコーポレーション」が本年度限りで運営から退くと発表した。新たな事業者には英国の公的な国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」を選んだ。テストでは機器の不具合や音漏れのトラブルが発覚したほか、運営や採点方法など多くの問題が浮上。ベネッセは当初から運営に関わってきたが、本格導入からわずか2年で撤退する形となった。(三宅千智)
◆ベネッセは応募せず
 都教委によると、ベネッセと結んだ協定の期間が2023年度末で終了するため、6月9日まで事業者を募ったところ、ブリティッシュ・カウンシルのみが応募したという。
 今年11月に実施予定で、来年の入試に使われる中学3年のテストはベネッセが担う。23年度から新たに導入する中学1、2年のテストと、再来年の入試に使う中学3年のテストは、ブリティッシュ・カウンシルが運営する。期間は28年度までの6年間。7月中に基本協定を締結する。
◆新たな業者は「IELTS」運営、東京外語大入試でも実績
 テストの形式はベネッセと変わらないが、採点のやり方など詳細は今後、詰めていくという。
 ブリティッシュ・カウンシルは1934年に設立された英国の非営利組織。スピーキングを含む英語検定試験「IELTS(アイエルツ)」を運営するほか、東京外国語大と共同開発した英語スピーキングテストは東京外大の入試に活用されている。
 ブリティッシュ・カウンシルの担当者は「詳細は都教委と協議中」とした上で「生徒や保護者、学校関係者が安心してテストに臨むことができるよう対応していきたい」としている。
 19年度に都教委と協定を結びプレテストから携わってきたベネッセの担当者は、応募しなかったことに「回答を控える」とした。
 英語スピーキングテスト 2022年は中学3年生のみを対象とし、11月27日の本試験には、約6万9000人が受験。音を遮断するイヤーマフとマイク付きイヤホンを使い、タブレットを見ながら15分間で8問に答える。録音された音声はフィリピンで採点された。都教委は23年度からテストの対象を中学1、2年生にも拡大し、本年度予算に35億円を計上した。(以下ソースで)

東京新聞 2023年7月14日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/263027