将来の幹部自衛官を育てる防衛省の教育機関、防衛大学校(神奈川県横須賀市)のあり方について、教授と校長がネット上で応酬する異例の事態が起きている。コロナ禍当初の校内での混乱をめぐる責任論が尾を引いている。

 防大で外交史や戦争史を教えている等松春夫教授が防大の現状を批判するインタビュー記事が6月30日、「集英社オンライン」に掲載され、そこに等松氏の論考「危機に瀕(ひん)する防衛大学校の教育」へのリンクが張られた。

 論考では、学校運営に携わる防衛官僚が「教育を知らない」、教官を務める自衛官の多くは「任に堪えられない」などと指摘し、新型コロナ対応も批判。人事面や「悪(あ)しき先例踏襲」といった「積年の弊害をあぶり出さない限り改善策を立てられない」とした。

 これに対し、久保文明校長が7月14日に防大のサイトで「所感」を公表。「(防大の教育に)改善の余地は大いにあるとしても、『危機に瀕する』という表現には違和感を禁じえない」「議論の一部は推測に基づいていると感じられる。本校の名誉を大いに傷つけた」と反論した。

 浜田靖一防衛相は21日の記者会見で、「教授の主張を受け、在校生の保護者や将来の受験生の不安を払拭(ふっしょく)したいとの思いから校長の所感を掲載したと承知している。防大で様々なご意見を踏まえつつ、不断の改善を図っていくことが重要だ」と話した。

 防大でのこうした対立がネット上に現れた背景には特に、新型コロナの感染拡大が始まった2020年度当初の混乱がある。

 防大によると、学生約2千人…(以下有料版で、残り614文字)

朝日新聞 2023/7/24 17:00
https://www.asahi.com/sp/articles/ASR7S4RX4R7LUTFK008.html?iref=sptop_7_03