ロシア下院は25日、ロシア軍の徴兵年齢の上限を30歳に引き上げる法案を可決した。近く上院で承認され、プーチン大統領の署名を経て成立する見通し。ウクライナ侵攻が長期化する中、軍全体の兵力増につなげる狙いとみられる。

法案が成立すれば2024年1月から施行される。現在の法律では徴兵対象年齢は18〜27歳となっている。上限を30歳と3年引き上げることで対象者を増やし、高等教育を受けるために徴兵猶予制度を利用した学生らが兵役につきやすくなる。

徴兵対象者は戦地に送らない方針だが、希望者が軍当局と契約を結んだ「契約軍人」になればウクライナなど戦地への赴任も可能になる。就職先として契約軍人への移行を促し、ウクライナ侵攻での兵士不足を補う狙いもあるとみられる。

ショイグ国防相は22年12月、ロシア軍の徴兵年齢を引き上げる考えを示していた。当初は下限の18歳の年齢制限も引き上げる方向で議論が進んでいたが、最終的には据え置いた。

ショイグ氏はロシア軍の人員について150万人まで増やす方針を示している。プーチン大統領は22年8月に兵士の総数を23年1月時点で約115万人とする大統領令に署名した。この総数との比較だと3割増となる。

ロシア軍の総兵力は22年2月の侵攻開始後は拡大基調に転換していた。

日本経済新聞 023年7月25日 23:13
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