大阪府が来年度からの導入を目指す高校授業料の完全無償化制度について、吉村洋文知事は4日、これまで示してきた素案より公費支出を増やし、私学側の負担を生徒1人当たり最大5万円軽減する方針を明らかにした。反発していた私学側に譲歩する内容で、私学側負担はこれまでよりも軽くなる。

同日、臨時総会を開いた私学団体「大阪私立中学校高等学校連合会」はこの譲歩案を評価、来週にも行われる知事との意見交換を経て正式に了承する見通し。府は8月中に成案化したい考えだ。

譲歩案は、公費で賄う授業料の上限を素案の60万円から63万円に引き上げる内容。さらに人件費や教材費に補助される経常費助成も、令和8年度までに生徒1人あたり約2万円を増額する。

府が今年5月に提示した素案では、現行の所得制限を撤廃し、大阪府民の生徒の授業料を完全無償化。財源捻出のため私学側にも負担を求めた。私学側は負担額が現在の総額9・5億円から17億円に増額されると試算し、「負担が大きく、教育の質の低下につながりかねない」と反発していた。

制度に参加する96校中、年間授業料が63万円を超える学校は25校。譲歩案が採用されれば約7割の学校は負担なく制度参加が可能となる。一方、物価上昇による水道光熱費や人件費の高騰なども学校運営を逼迫(ひっぱく)しているとの声があり、全校に補助がいきわたる経常費助成の増額につながった。

吉村氏は「教育の質を上げる教育費無償化案を作るには私学の協力なしではできない。どんな環境でも子供たちが学びたいと思えば、道が開ける社会をつくりたい」と説明した。

2023/8/4 21:56 産経WEST
https://www.sankei.com/article/20230804-ANOSAXL45BODBGQMNBNLCOQ7OM/?dicbo=v2-y4xEa86