竹中平蔵「日本人は劣化していると最近よく感じる」
 OECD生徒の学習到達度調査(PISA)は3年に一度参加国が共同して、学習到達度問題を15歳児対象に実施する調査ですが、第一回の2000年、日本は数学的リテラシーで1位、科学的リテラシーで2位、読解力で3位でした。しかし2018年の結果は、数学的リテラシーが6位、科学的リテラシー5位、読解力が15位です。

 私は、日本の人的資源の劣化を最近よく感じます。とくに日本の大学生を見ていても強く思います。以前、対談でデービッド・アトキンソンさんが、日本の大学卒のほとんどが「ロジカルシンキングができない」ことに驚くと言っていましが、私もそう思います。一方で、一人当たりの年間教育費は増加傾向にあります。子供の学習費調査によると、公立小学生の年間の塾代は平均8万円を超え、前回調査の18年度の1.5倍でした。

 私は学習塾などが支えている受験システムが日本をダメにしたのではないかと思っています。受験とは記憶力・反射神経を試すもので、体育会的トレーニングが必要になってきます。たしかに、かつてはその受験が日本を助けました。

マイナンバーカード批判の議論は、日本の教育制度が崩壊している証拠だ
 明治維新の際、高級官僚が必要だった日本はこの受験システムで西洋の知識を候補者に詰め込んだのです。そうして20~30年という短期間で日本は列強の仲間入りを果たしたのです。また。戦後でも大いに役立ちました。敗戦で日本が”ゼロ”になり、国を復興するために均質な労働力が欲しかったのです。

 ですが、成熟した国家となった日本では、この教育をシステムにより弊害が生まれていると感じるのです。

 日本の受験では絶対的な正解があるものを前提に試験をしていますが、世の中のほとんどのことには「絶対的な正解」などありません。オウム真理教に入信する東大生はなぜ多かったのか。それは彼らが絶対的な正解をそこに求めたからなのではないでしょうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e5fced3ced90274542b2dc570192d9438ed06743
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