9月27日、岸田文雄首相は首相官邸で「新しい資本主義実現会議」を開催し、賃上げ促進や国内投資の拡大に向けた減税措置などを議論した。

 税制措置では、企業減税が柱となる。首相は会議で「持続的賃上げについて、賃上げ税制の減税措置の強化を図る」と強調。また、国内投資の促進へ「成長力強化に資する減税の実施を図る」とした。

 首相は25日、経済対策について「成長の成果である税収増を国民に適切に還元する」と強調。3つの減税政策を表明していた。

(1)「賃上げ税制の減税制度の強化」

(2)「国内投資の促進や特許所得に対する減税制度の創設」

(3)「ストックオプションの減税措置の充実」

 この3つは、経団連が9月11日に発表した「2024年度税制改正に関する提言」に含まれているものだ。

 27日の会議で、企業向けの減税措置を打ち出す一方、個人向けの減税措置は議論されなかったことに、SNSでは批判的な声が多く上がった。

《減税やる気あるらしいけど企業減税だってよ…消費税や所得税どうした?賃上しても物価上がってんから可処分所得増えてねーし》

《企業減税しても給与に反映されるか不確定だし、足りない分を個人で増税されたら実質賃金・手取りは変わらないか、ますますキツくなる。増税メガネのごまかし》

《企業減税より個人減税してよ! 》

《岸田首相の聞く力て、ホント何なんだろうなと思う。自分に都合のよい国民・企業の意見は聞く、それ以外は聞いたフリをする。普通の人ならそれでも良いかも知れないけど、国の舵取りをする人が、それじゃあ終わりだよ》

 9月26日、政府・与党が食料品価格や光熱費の高騰による家計負担を軽減するため、低所得者向け給付措置を経済対策に盛り込む検討に入ったと、共同通信が報じた。給付対象は、住民税の非課税世帯が軸となりそうだという。だが、厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」をもとに計算すると、65歳以上の高齢者世帯が、住民税非課税世帯の74.7%を占める。つまり、現役世代サラリーマンへの恩恵は、いまのところほぼないというわけだ。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は9月27日、自身のX(旧Twitter)にこう書きこんだ。

《この物価高の中、困窮する低所得世帯に給付してもいい。しかし「税収増を還元」と言うなら、普段まじめに働いて税金を払っているサラリーマン減税こそ必要だ。所得税減税を決断せよ。》

 企業減税、住民税非課税世帯への支給が、「税収増を国民に適切に還元する」ことになるのか。岸田首相にはいまいちど再考してほしいものだ。


9/28(木) 16:09配信  SmartFLASH
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