(CNN) 中国政府や国営企業がトランプ前米大統領の在任中に、トランプ氏の所有する不動産に550万ドル(現在の為替レートで約8億円)あまりを支払っていたことが、米下院民主党が4日に公開した報告書からわかった。他にも支払っている国々はあるが、一国の支払額としては最大。

この金額には在米中国大使館、中国の国営銀行、国営空輸企業からの数百万ドルの支払いが含まれる。下院監視委員会の民主党議員は、トランプ氏が以前雇っていた会計事務所メイザーズUSAから会計記録を入手した。

報告書によると、中国を含む20カ国がトランプ氏の在任中に同氏の企業や不動産に総額で少なくとも780万ドルを支払っていた。そこには首都ワシントンやニューヨーク、ラスベガスのトランプ氏のホテルへの支払いも含まれる。

外国政府が在任中の大統領が所有する企業に直接金銭を支払うのは異例。今回の文書はその証拠となるが、そうしたすべての支払いの記録を含んでいるわけではない。

トランプ氏の弁護士は当時、トランプ氏のホテルが外国から得た利益は米財務省に寄付する計画と発表した。だが、2017年と18年にトランプ氏の一族企業「トランプ・オーガニゼーション」から寄付されたとされる金額は、外国から同氏の不動産に支払われた推定額よりはるかに少ない。

トランプ氏は就任前、自身から企業資産や不動産を切り離すことを拒んでいた。同氏は透明性を欠く状況の中、様々な自社事業から利益を得られた可能性がある。

民主党はこうした会計記録から、在任時にトランプ氏の企業を通じて同氏に影響力を行使しようとする動きがなかったか、新たな懸念が持ち上がると指摘する。

その一例として、トランプ氏が中国工商銀行に制裁を科さなかった点を挙げる。同行は中国の国営銀行で、ニューヨークのトランプタワーの一部を賃借していた。

12年の証券取引委員会の提出書類によれば、同行が支払った基本家賃は190万ドル。メイザーズの記録によれば、同行は19年までトランプタワーにあった。

司法省は16年、同行が米国の制裁を回避する目的で北朝鮮と共謀していると非難した。報告書によると、トランプ氏は大統領就任の際、共和党議員から「北朝鮮と取引をする、さらに多くの中国の銀行を対象とした最大限の金融、外交上の圧力」をかけるように求められたが、同行に制裁を科さなかった。

CNNは中国大使館に対し、トランプ氏所有の不動産に対する中国からの支払いについて見解を求めた。大使館の報道官は「中国は内政不干渉の原則を守り、米国の内政に関する問題にコメントしない」と答え、「中国政府は中国企業に海外事業における現地法令の順守を求めている」と強調した。

また、中国と米国間の経済・貿易協力は互恵的で、「米国が中国・米国間の経済・貿易上の話を政治利用するのには反対する」とも述べた。

トランプ・オーガニゼーションは、トランプ氏の在任期間中、外国政府の利用で得た利益に相当するとみられる45万ドルあまりを米財務省に寄付したとしている。また、事業のポートフォリオ全体で外国政府とのビジネスをすべて追跡するよう取り組み、在任中は新たな外国事業投資も行わなかったという。

トランプ氏の次男エリック・トランプ氏は、ビジネス上の利益に関係なく、トランプ氏ほど中国に強硬だった大統領はいないとの声明を発表。「中国の製品やサービスに数十億ドル規模の関税を導入した」ことを例に挙げた。


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