※2024/03/10/15:35
埼玉新聞

 じゅっ。熱を蓄えた鉄製の焼き台に、しょうゆが触れる。香ばしい匂いはうちわの風に促されて宙に放たれ、鼻腔(びこう)の奥をくすぐってくる。埼玉県所沢市上新井の「山口屋だんご店」は、地元の名物「焼だんご(焼き団子)」を手作りし、販売している。「おいしいものを作り食べてほしいということが、頭から離れない」。店主の金子初江(77)は語る。

 長さ約17センチの竹串が貫く四つの団子。きめ細かな米の粉を湯と共に機械で固め、たらいに移してこねる。それを直径約3センチの玉に丸めて串に刺していく。冷蔵庫で寝かせて蒸し上げ、仕込みを終える。

 6本下さい―。注文が入った。焼き台の上に、金子は真っ白な状態の団子を並べる。岩手県産のナラの炭であぶるうちに、ほんのりと焼き目が生まれる。

 うちわの出番だ。金子は炭火に、ぱたぱたと風を供給しながら、手際よく串を回す。焼く時間に決まりはないが、「10本を焼くのに10分ぐらいかける」という。

 焼き台の脇で、さりげなく存在感を醸し出す茶色のつぼ。市内の「深井醤油(しょうゆ)」のしょうゆで満たされている。社長の深井隆正(38)によれば「焼くと香ばしくなるように、こくが強い」点を特徴にする。

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