11年前の秋、埼玉県熊谷市で10歳のサッカー少年がひき逃げされ、命を落とした。県警の遺品紛失や公文書の破棄の疑いが明らかになったが、少年の母が何よりずっと願ってきたのは、事件の解決だ。時効まであと半年。母は加害者へ「事件の真実を聞かせて」と願う。
 小関孝徳さんがひき逃げされた現場に立ち続ける母の代里子さん。「あの日、あの時、何があったのか。ささいな情報でもいいので、知っている人は教えて欲しい」
 2009年9月30日午後7時前。習い事を終え、好きなテレビ番組を見ようと自転車で帰宅する途中だった。小学4年の小関孝徳(こせきたかのり)さんが車にひかれて亡くなった。
 小3からサッカーを始め、厳しい練習にも弱音を吐かなかった。「優しく、気遣いのできる子だった」と母の代里子さんは言う。2人だけの家族で、家の手伝いもよくやってくれた。