取材に応じる門川大作市長=京都市中京区の市役所(永田直也撮影)
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 新しく迎える令和(れいわ)の時代。門川大作京都市長(68)に「京都が今、世界に伝えたいこと」を聞いた。(聞き手 山口敦)=〈上〉から続く

 −−国連が2015年に採択した「持続可能な開発目標」(SDGs)についてどう考えていますか?

 京都には「SDGs」という言葉ができる前からの取り組みがあります。

 たとえば、明治維新の後、幕末の戦乱で6割が焼けたまちで、日本で最初の小学校を作った。

 「かまど金の精神」というのがあります。要は、家にかまどがある人は、みんなお金を出し合うということです。
当時、富裕層はすべて江戸に行ってしまった。人口は34万から23万人に減った。それでも、みんなが等しく学べる学校を、みんなの出し合ったお金で作り、運営した。
京都の1200年を超える歴史には、輝かしい面とともに、時代時代の制約のなかで人権問題があったことも事実ですので、これは革命的だと思います。

 「人の世に熱あれ、人間に光あれ」という宣言で知られ、日本で初めての人権宣言と言われる水平社宣言が出されたのも京都。聾(ろう)学校が日本で最初にできたのも京都。
明治13(1880)年に日本で最初の芸術大学ができたが、これは男女共学だった。
おもしろいところでしょ。教育、人権、男女共同参画という点で、京都には日本の歴史のなかでも先進性があるんです。

 −−京都という古いまちに、先進性はどこから生まれてくると考えますか?

 京都が古いまちであったことは一度もありません。伝統とは改革の連続です。伝統だけではだめ。
その伝統がどうして起こってきたのかを見定め、その都度、その都度、再認識して今と合わせていく。
そのことによって未来につながっていく。それを京都のまちや人々が感覚的に持っているのではないかと思います。

 3代暮らしていなければ、京都人じゃないという間違った考えがありますが、まったく違います。京都は開かれたまちです。どんどんとよそからの血を入れる。
そもそも1200年前、渡来人の知恵を生かして作ったまちです。しかも、ほとんどの歴史都市には城壁があるが、平安京には城壁はなかった。

産経WEST 2019.4.30 16:00
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