長野、富山両県を結ぶ「立山黒部アルペンルート」の黒部ダムと大町市扇沢間で
2年前まで走っていた関電トンネルトロリーバスの車両を保存しようと、同市はクラウドファンディングを始める。
現存するのは15両のうち1両だけで、資金が目標額に達しないと解体され、達成すれば市内で展示する。
市の担当者は「皆さんに応援してもらう形で残したい」と話している。
トロバスは架線から電力を得て走り、電車の一部とされる。
関電トロバスは1964年に開業し、電気バスに切り替えるため2018年11月末を最後に引退した。
運行終了による注目の高まりを受け、市は同月から保存を検討。
富山県高岡市の解体業者に掛け合い、1両の解体を2度にわたり先延ばしにしてもらったが、
維持や活用の見通しを描けないとして2019年春には保存を断念した。
しかし6月末、トロバスのファンが業者に解体延期を求め、業者もまだ残してくれていたことが判明。
ファンらの熱意に市は「やはり保存すべきでは」とあらためて検討し、保存を目指すことにした。
一方で「ファンや市民がどれだけ賛同してくれるか見極める必要もある」と、あえて市で予算化せず、
目標額に達した場合のみ資金を受け取れる形式のクラウドファンディングで資金調達を図ることにした。
市観光課の課長補佐は「歴史文化遺産として、残す意義はあるのでは。ファンや市民の思いが形になれば」と話した。