●「会ったこともないのに、突然すみませんでした」

ようやく警察が取り合ってくれた頃、加害者Aからも「爆サイからスレッドが削除された月から、もし削除が遅くなる場合は2021年1月から、慰謝料を支払う」と連絡があった。2021年1月にようやくスレッドの削除がされたが、慰謝料の支払いは開始されなかった。

そこで2021年3月、宮野さんはAを相手に、慰謝料や開示請求費用など150万円の支払いを求める損害賠償を求めて提訴した。大阪地方裁判所は4月、「氏名でスレッドをたて、継続的に事実ではない内容を投稿し、社会的評価を下げて名誉毀損した」などとしてAに対し150万円の支払いを命じた。

Aは5月18日、名誉毀損の罪で甲府地方検察庁にて略式起訴され、罰金20万円の略式命令を受けた。アカウント乗っ取りなど不正アクセス禁止法違反の罪についても、Aは全て認めていたが、ログが残っておらず証拠不十分で不起訴となった。

その後、「謝りたいと言っている」と検察を通じてAから連絡があった。

「会ったこともないのに、突然すみませんでした」。電話でそう謝罪したAは「仕事見つけるのに時間がかかるから」、「子どももいて、旦那の稼ぎも少ないし、本当に貯金もないので支払いができない」と8月から1万円ずつ慰謝料などの支払いを始めたいと話した。

宮野さんはAに「判決にて利息も遅延損害金も認められた。裁判費用も全額被告負担と判決が出ているため裁判費用も請求させてもらいますが、150カ月も払い続けるのですか」と尋ねたが、「自分にはそれしかできない」と言われた。

「私も早くこの件を忘れたいので、もう少し増額して、支払い期間を短くしてくれませんか」と返すと、Aの夫が電話口に出てきて「あなたの普通と僕たちの普通は違うんです。僕の稼ぎも少ない中、子供にお金もかかるのに慰謝料払うだけまともだろう」と逆上してきたという。

「本当に反省しているのか。また同じような嫌がらせをされるのでないか」。今後、慰謝料がしっかりと支払われるのかも不安になった。

Aは「刑事事件の罰金も払わないといけないから」とコンビニでバイトを始めたというが、「全額慰謝料にあてられないから、刑事事件の罰金と車のローンを払いながら、進めさせてください」と話し、現在宮野さんに対し月1万円ずつ支払いをしている。