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立憲民主党のHP

 立憲民主党のサイトを開くと、「衆院選2021 選挙結果」の文字の下に「変えよう。」との大きな文字が記されている。思わず「結果は変わりませんよ」と呟いてしまった。

 2日の執行役員会において、枝野幸男代表が遅ればせながら辞意を表明し、特別国会後に代表選が行われる見通しだ。「政権選択選挙」と位置づけながら、議席数を減らす結果となったのだから当然の話である。

 枝野代表のあいさつを読むと肝心なことが一切語られていない。

 「残念な結果」「ひとえに私の力不足」「大変申し訳なく思っている」との常套(じょうとう)句が繰り返されるが、なぜ、国民の支持を得られなかったのかについての分析や反省が一切見られなかった。

 投開票日(10月31日)の記者会見の際には、野党共闘に関して、「一定の成果はあった」と述べた。だが、実際に敗北を喫している以上、説得力はない。

 最大の支持組織である連合の芳野友子会長が1日の記者会見で、「連合の組合員の票が行き場を失った。受け入れられない」と批判したが、正鵠(せいこく)を射ている。元来、共産主義とは明確な一線を画してきた労働組合の会員にとって、自らが支持する政党が共産党と連携するなど、驚天動地の事態に他ならない。

 立憲民主党の執行部は、目先の票欲しさに共産党と連携する道を模索したが、元来の支持層を失う結果となった。枝野氏は潔く「野党共闘の失敗」を認めるべきであった。

 代表選では「野党共闘の是非」が論じられるであろうが、抜本的な見直しが図られるのかは疑わしい。立候補に関して前向きとされる小川淳也元総務政務官は野党共闘派とされる。

 彼が世間の耳目を集めたのは、自らの選挙区に日本維新の会が候補者を擁立すると決定した際だ。約束もなしに維新の会の代議士会に押しかけ、野党候補の一本化を懇請したのである。野党共闘に参加していない日本維新の会に野党共闘を呼びかけることもおかしいが、私には「恥も外聞もなく、自らの当選のために動く政治家」という印象が強烈に残った。

 小川氏は、報道ステーションのインタビュー(2日放送)に、次のように語っていた。

 「自民党政権は長く続き、権力の私物化のような状況が目に余る。しかし、あなたたち野党も本当に私心なく、私利私欲なく国民のために無私の姿勢でやってるのかと。第一に、無私の姿勢…」

 「無私の姿勢」とは、ほど遠い政治家に思えるのだが、私の解釈が誤っているのだろうか。立憲民主党は「共産党とは政策が異なる」と強調する。しかし、野党共闘は正しいと主張する。申し訳ないが、国家よりも自分の議席を優先しているようにしか思えない。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部准教授。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方 リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。ユーチューブで「岩田温チャンネル」を配信中。

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